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July 01, 2010

自分の頭で考えたアイデアを言おう

E214若者が、自分の頭で考えたアイデアを人前で言うのは大変なんだろうなあ。実は若者に限らないけど。
間違えなく「何の役に立つのか」「本当に可能なのか」とか言われる事を恐れるだろう、それ以前に「笑われるんじゃないか」と思ってしまうだろうし。

本当のところ「アイデア」を思い付くのが先で、「実現可能性」の検討が二番目、三番目に「何の役に立つ」かが来る。二番目と三番目の順番が逆になることもあるが、「アイデア」だけの段階があるのは間違いない。

だから、最初は「アイデア」だけで、「実現可能性」も「役に立つ」も無い段階で人に話すことになる。これを自分一人の胸の内にしまっていると消えてしまう事が多すぎる。人に話して初めてアイデアが固まり、実現化への道を進み始める事が多い。だから、自分の頭で考えたアイデアを人前で言うのは本当に必要なんだ。

「アイデア」を聞く側の姿勢も大事。話を受け取る方としては、「笑う」なんて論外で、親身になって一緒に考える姿勢が必要なんだろう。実際、実現可能で役に立つアイデアなんて2割程度。だから、8割無駄になっても構わないから、残りを救う覚悟でやらんといかん。

そう言う過程を踏まないで、「自分のアイデアは正しい」と言い続けられるのは余程の変人か自信過剰な人間だけだ。

正直、私自身も若い(20代の)ころは「自分がアイデアを考え出せる人間」だと思っていなかった。自信が持てるようになったのは、最初に自分の頭で考えたアイデアが、曲がりなりにも実現可能性を示せた時だ。

私の場合、アイデアが思い付いてから、実現可能性を示せるまで10年近くかかった。
アイデアの発端は月。よく知られているけど、月は年数センチずつ地球から離れている。つまり高度上昇の軌道制御と同じ。自然ができるんなら、人間ができないわけが無い。月が高度を上げることができるなら、同じ原理で人工の宇宙船とか衛星だってできるだろうって単純に考えた。

月の高度上昇は知っていても、その原理を知っている人は少ないだろう。高度上昇することは位置エネルギーが増えるはずだが、そのエネルギーは何処から来るの? 運動量は?

まあ、そう言った問題疑問を一つ一つ片付けていって、それを人工的に模倣するシステムを構築していったわけ。もちろん、本当に作ったのではなく、理論的に組み立てただけだけど。
10年近くかかって、満足できるシステム構想が構築できたので、論文にまとめ始めた。しかし、人のマネではない理論を、人に説明するのは難しい。全て自分の言葉で説明しなきゃいけないからね。それまでの論文が如何に他人が作り上げた構想・構築を真似しているだけだって、良く判った。
その頃、周りの人は、私の事を半分おかしくなったんじゃないかと思い始めたらしい。なんたって月の動きを模倣する推進システムだからね。ところが、幸か不幸か海外で全く同じ主旨の論文が見つかった。それも、凄く権威のある人の論文だ。僅か数年前に出たもの。少なくとも私がおかしくなったのではないことだけは、当時の上司に認めてもらえて、それまで居た製造(?)部門から、今居る研究部門に配置替えになったわけ。

私自身は先を越されて悔しかったが、それでも自分のアイデアと、それを実現するためのシステム構築の考え方が正しいと判り、自信を得た。「月の様な推進システム」の実現は諦めたけど、その後、新しく野心的なアイデアを実現する事に挑戦し続けている。

まあ、これ以上、私の成功体験を語っても、本題から外れるだけだ。

要は、自分の頭で考えたアイデアを人に言うには自信がなきゃいけない。自信を得るためには成功体験が必要だ。成功するためには、人前で話すことが必須・・に近い。
これじゃ、ニワトリとタマゴじゃないけど、堂々巡りだ。

せめて、人に話すところから始めようか。
まねではなく、本当に自分の頭から出たアイデアを話そう。
他の人のアイデアじゃなく、自分の頭から出たアイデアなら、少なくとも私は、笑わないから。

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Comments

>本当のところ「アイデア」を思い付くのが先で、「実現可能性」の検討が二番目、三番目に「何の役に立つ」かが来る。
まさに発明に関する段階、そのものですね。 まず、「発想」があって、「その発想が、実現可能なことを証明するのが発明」であって、「その発明の効果および新規性,独自性を示すものが特許」であるということ。 ただ、特許を狙っているなら、おおっぴらに言うことはできないですね。 関係者外に情報が漏れたら「公開」扱い、「特許権の放棄」と見なされますから。

>「アイデア」を聞く側の姿勢も大事。
前に居た会社で、社内ネット会議室でアイデア募集のブレーンストーミングがあったのですが、ブレーンストーミングは笑いで言えば「ボケたら、かぶせろ、膨らませろ」なのに、ダメ出ししかしない人がいたので、「これじゃ、ブレーンストーミングにならないでしょう」と言ったら、その人が知財部の管理職、即ちアイデア募集の主催者で「オレがルールだ。文句があるなら出ていけ」と言い出して、急速に廃れていきました。 そういう失敗って、いろんなところであるんじゃないでしょうか。

変な話ですが、荒唐無稽にも思えるアイデアを具体的な形で示すことに最も適しているのは、マンガを描くことだと思います。 そのアイデアが活躍する世界や、人との関わりがわかりやすく、描いているとアイデアを膨らます練習にもなります。(読んだ人に「これは、もしかしたら世界が変わるかも」と思わせるのは、マンガの出来というかストーリーのほうに影響されちゃうけど) 私にとって、絵を描くことと科学は大して違わないのですが、正反対のものだと思っている人が多いです。 もしも、アイデアを練る教育ができたならば、マンガを描くこともカリキュラムに入れましょう!(半分、冗談です)
私は、「熱気式外燃機関で空を飛ぼう」というアイデアのマンガを描こうとしたのですが、具体的な話をする以前に企画段階でボツになったので、そのマンガのアイデア2件は特許出願して登録されました。(私のwebページに書いたやつだけど、自分で開発しようとしても10億円くらいかかっちゃうから、誰か買ってくれないかな。ちなみに膨張率が明確に固定されているので、燃焼制御のできるエンジンには向いていますが、高温側の温度変化の範囲が大きいものには向いていません。メンテナンスの面からも、宇宙ではスターリングエンジンのほうが有利です)

私はマンガで、地球に近い公転周期を持つ小惑星に、太陽の潮汐力を受けるアームをつけてレゾナンスロックを起こさせ、小惑星の自転周期のムラで損失を発生させるフライホイール機構をつけて、小惑星の軌道を楕円から真円に遷移させて、小惑星を地球軌道に取り込もうというアイデアを使ったことがあります。(なんで、軌道が変わるのかって?軌道が変わらないと、永久に損失熱を放出し続けることになってしまうから) 「軌道遷移するのに何億年かかるんだ?」って話ですが、イオが潮汐力で噴火するならば、潮汐エネルギーを変換し、利用することだって不可能じゃないですよね。 特にイトカワなんて変な形をしているから、潮汐力が作用しやすいはず。 イトカワに粘性流体の入ったカプセルを取り付けるだけで、何億年か後にはロケットですぐの距離になってるかもしれません。(何億年ももつ粘性流体もないでしょうが)

毎度、長文で失礼しました。

Posted by: 美村蔵親 | July 03, 2010 at 12:01 PM

マンガが必要と言うのは、賛成です。
実は、漫画家と絵本作家に色々と質問される時に新しい考えとかアイデアが出るのは、経験済みです。

後半は理解するのに時間がかかりましたが、何と無く判ったような気がします。私の論文の中の離心率制御をアクティブではなく、逆にパッシブでやるのと同じようだと思えば良い様ですね。

Posted by: 野田篤司 | July 04, 2010 at 01:34 PM

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