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December 07, 2008

軌道エレベーター

E1291最近、軌道エレベーターが話題だ。先月も、お台場で会議があったらしく、テレビなどでも派手に報道されていた。ちょっとバブルっぽくて、うさん臭い感じがしているのは私だけだろうか?
軌道エレベーターって、理論的には全く科学的に正しい。でも、技術的に相当厳しくって、実現はかなり未来のことになると思う。実現は相当未来だってことを皆が納得して話題が盛り上がっているだけなら、良いんだけど・・・

「実現が相当未来だって言えば、おまえの小惑星開拓の方が余程未来のことだろう」って言われそうだ。でも、私は小惑星開拓の方が先じゃないかって思っているんだ。いや本当。軌道エレベーターの建築って、それほど技術的に現在とのギャップがあるんだよ。

それから、軌道エレベーターについて気になるのは、「エレベーターで昇って、何処行くの?」の点。
「上から見ると景色が良い」なんて、能天気な理由だけで、こんな巨大建造物が作れるわけない。

エレベーターと言えども、一種の乗り物。乗り物なら、何処かへ行く目的地があるはずだ。昇って帰ってくるだけじゃあつまらない。

で、軌道エレベーターに乗って、何処かへ行けないかって考えたのがイラストだ。
ざっと計算すると、絵のように静止軌道である高度3万6千キロを超え、高度5万7千キロまで昇る。ここで、エレベーターのロープから、手を離すと、アラ不思議、勝手に火星まで連れて行ってくれる。鉄人室伏ならぬハンマー投げの要領だ。
同じように、高度12万キロなら木星、高度14万キロなら土星だ。外側の惑星だけじゃ無く、内惑星にも行ける。高度10万キロなら水星、高度5万4千キロだ。私の好きな小惑星帯なら高度11万キロだ。
今のNASAの構想だと、軌道エレベーターは、高度10万キロの高さまで伸して、そこに重りを置くらしいが、土星まで行くこと考えて、15万キロ位の長さにした方が良いなあ。

E1292外側とか内側の惑星に行けるのは、エレベーターのロープから離れるタイミングを変えること。左のイラストのようにタイミングを変えると、外側にも内側にも行ける。

ただ、軌道エレベーターからは、目的地の惑星まで行く「ホーマン軌道」には入れるけど、目的の惑星に着いたら、そのままだと通り過ぎて、逆に戻ってきちゃう。目的の惑星に止るためには、止るためのロケットと燃料が別途必要になる。

意外と、軌道エレベーターは、火星とか小惑星とか他の星に行く役に立ちそうだ。静止軌道より高いところに昇った時の遠心力が気になったが、一番大きな土星へ行く場合の14万キロの高度でも、0.08G しかかからない。これなら十分だね。

こう書くと、とても難しい計算をしたように思われるかも知れないが、表計算ソフトがあれば、15分くらいで作れる程度だ。必要となる情報も、地球や太陽の質量とか軌道半径など理科年表程度で、むしろネット上を探索した方が楽に見つかる。私の計算など、とっくに同じような事を、だれかが発表しているに違いないが、論文サーベイするより、計算した方が早いので、自分で計算してしまった。
なお、立体角の計算が面倒なので、面外制御の部分は考慮していない。実際は、もう少し余計に制御量が必要になるだろう。

とは言え、ハンマー投げ方式で、火星やら小惑星に行くのも悪くは無い。軌道エレベーターを批判しようと計算を始めたのだが、擁護するような結果になってしまった。
まあ、いいか。

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Comments

面白いですね!「火星に行くより水星に行く方が大変」という事が一目でわかる絵のような気がします。なかなか理解してくれない人も多くて(^^;

私は軌道エレベーターができる頃には、月面工場が出来てるんじゃないかと思ってます。宇宙空間に資材を浮かべる手間(コスト)が地球産>月産になってて、さぁ小惑星でも行こうか、という時期じゃないかなと。軌道エレベーターの資材も月産かも。
逆に軌道エレベーターが出来ないと月面基地も出来ない、という条件になると、未来が一気に遠くなりそうです。

ところで、軌道エレベーターの遠方側の距離・高さって自由に選べるんでしょうか?なんとなく重心高度が上がって、静止軌道に留まらない気がするんですが…(ちゃんと計算してないので気がするだけですm(__)m)

Posted by: 独楽 | December 08, 2008 at 02:08 PM

こんばんは。
軌道エレベーターという名称から、人間を一度に10人ほど乗せれる乗り物を想像していましたが、蹴上のインクラインみたいな構造にして、8㌧くらいの無人探査機+上段を持ち上げれるようにすれば惑星探査に使えますね。海王星系にも探査機を送り込めるはず。
惑星探査に使用可能な軌道エレベーターなら面白い。
しかし、軌道エレベーターの静止軌道以遠の施設をメンテナンスするためのEVA船外活動は命がけですね。
手を滑らしたり、命綱が切れたら、火星や金星まで飛ばされるわけですから。
錘の部分に太陽電池パネルを付けてエネルギー源にすると夜は休業なのでしょうか?

Posted by: bbsawa | December 11, 2008 at 07:50 PM

独楽さん、ようこそ。
私も軌道エレベーターの資材は、宇宙で調達できるようになるのが、先だと思います。月産の可能性もありますが、小惑星のような気もします。いずれにしても「軌道エレベーターが出来ないと、その先がない」って風にはしたくないです。

軌道エレベーターの重心移動については、ロープが十分なテンションに耐えられれば何とかなると思います。とは言え、私も計算していないので、確かな事は言えませんが。

bbsawaさん、ようこそ
「蹴上のインクライン」と言う言葉が判らなかったので、ググってしまいました。これは凄いですね。行ってみたい・・・
確かにEVA作業は大変と思います。手を離すと火星まで・・・・ 誰か、SFに書きませんか?

ところで、夜でも大丈夫だと思います。静止軌道の場合、日陰は、春分秋分時の時の一時的に最大1時間半程度しかないですから、意外と電力は確保できると思います。

Posted by: 野田篤司 | December 14, 2008 at 09:22 AM

初めて書き込みします。

軌道エレベーターを利用しての惑星間飛行についてかなり参考になりました。ありがとうございます。
軌道エレベーターは比推力が大きな電気推進系の装置と組み合わせる事で特に絶大な威力を発揮しそうですね(ただし、電気推進の推力増強が必須ですけど)

軌道エレベーター建造に関する最大の技術的ハードルはエレベーターの素材ですが、素材工学(化学)は小さな研究室の孤独な技術者がある日突然大発明をやってしまう可能性のある分野だから、突然様相が一変する大発見のニュースがまいこんでくる可能性もあるかもしれないなーと少しだけ期待しています
(現在の軌道エレベーターバブルも、元を正せばフラーレンの研究中偶然見つかった某素材がキッカケですしね)

あと、個人的には軌道エレベーター建設に小惑星を活用する必要は特にないと思ってるんだけどどうでしょうか。最初に小規模なエレベーターを大型化学ロケットで打ち上げ、あとはそのエレベーターを使ってチマチマとエレベーターの増強資材を打ち上げていった方がいいような気がするのですが。
化学推進分野が行き詰ってる現在、小惑星から資材を持ってくるための設備を打ち上げる合理的な手段が(軌道エレベーター以外)何もないように思えます。むしろ、小型のエレベーターを地上から打ち上げて、それを基点にエレベーターを大型化し、その後他天体の開発に着手した方が合理的じゃないかなーと思うけどどうでしょうか。

とりとめもない長文失礼しましたー

Posted by: | December 23, 2008 at 10:46 PM

匿名さん、ようこそ。

軌道エレベーターの最大の問題は
「最初に『小規模なエレベーター』を作って、徐々に増強していく」ことができないことだと思っています。
もちろん、一度、軌道エレベーターを作れば、それを使って、さらに大きくする事は可能なのですが、問題は、最初の一基を作るところです。
最小単位の軌道エレベーターでも、月とか小惑星から資源調達をする必要があるほどの大きさになりそうな気がします。

もの凄く小さい大きさでの軌道エレベーターが作れれば良いのですが・・・

Posted by: 野田篤司 | December 29, 2008 at 02:39 PM

レスどうもです。

軌道エレベーターの「最初の一基」に関しては、楽観的な見方で総重量10トン程度でも可能ではないかとの見方もあるみたいですね。
エレベーターはラップ並に薄いCNTのリボンで作れば可能ではないか、という。
朝日新聞に掲載された軌道エレベーター建設費1兆円説もそのあたりを根拠にしていたと思います。
サターンVの生産数が13機なので、仮に軌道エレベーターの1基目がアレスVを使って13回程度で打ち上げできれば、建設は可能ではないかと思います。

ただし、無限長のCNT単分子繊維の量産が可能になる事と、デブリ問題の解決が前提となりますが(個人的にはこっちの問題の方が大きいと思います)

Posted by: | December 29, 2008 at 04:08 PM

最初の一基が総質量10トン程度で、なおかつ、二本目の索を持ち上げるに足る性能をもっていれば、軌道エレベーターもアリでしょうね。H-IIAですら、静止軌道に2トン持っていけますから、サターンVやアレスVクラスの超大型ロケットなら一発ですむでしょう。
でも、一桁位重くなりそうな気がします。
もちろん、デブリとかの問題もありますし・・

Posted by: 野田篤司 | December 29, 2008 at 06:21 PM

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