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April 29, 2007

最近の若い者は・・・

E089昨日、都内某所で、ちょっと講演をした。昔、世話になったことのある大先生に頼まれて断れきれなかったのだ。最近は、宇宙旅行とか火星や小惑星の命名権やらの土地の権利とかをネタにして、怪しげな事もあるらしいので警戒した。しかし、そう言ったものでは無く、心配は全くの杞憂であった。結果的には、色々な人に会えたし、面白かったので、講演して良かった。

このブログで事前に告知しなかったのは、会場になる会議室が満員になるくらい既に予約が入っていると言うことだったからだ。

で、会場に行くと、50人弱位の人が集まったのだが、普段の『客層』と全く違うので驚いた。普段は、専門の技術者や科学者が集まる学会やら、マニアの集まる SF 大会やロフトプラスワン、宇宙作家クラブのミーティングで喋っているのだが、この場合、聞いている人は、宇宙に関して、それなりに知識がある。
ところが、昨日は、全く宇宙とは関係の無い職業でマニアでも無い人達が、「宇宙に行きたい」と言うキーワードだけで集まって居た。若い人から年を取られた方、男性も女性も居た。もちろん、男性の方が比率的には多いが、普段では、まず居ない ごく普通のOL風の若い女性とか、普通の主婦とかが居たのには驚いた。男性でも、広告代理店とかIT関係の職業など、宇宙とは縁もゆかりも無く、また、マニアでも無い方が多く居た。

用意したプレゼンテーション資料は、ターゲットを見誤って、少し専門的な部分が多過ぎ、難しい部分は出さずに話したのだが、それでも終了後に色々な人に聞いたところ、専門用語などが難しかったようだ。ただ、皆さんが「面白かった」と言って下さったのが、せめてもの救いである。

講演終了後、懇親会に出たのだが、そこでも色々と話、面白かった。
ごく、普通の人にも「宇宙に行きたい」が、ストレートに判ってもらえるんだなあ。
ちょっと、カルチャーショックだった。反省しなければならない。

ところで、その懇親会で若い人と色々喋った。若いときから、海外で宇宙関係やシステムエンジニアリングの学校に留学したりして、自分が進みたい道のために努力している人が居る。宇宙関係でなくても、他の色々な分野で努力し、自分の仕事を着実に進めていて、なおかつ、大きな夢を追おうとしている人も居る。皆、若いのに、努力し、自分の道を、自分の力で進もうとしている。
だが、残念な事に、彼らを受け入れる場所が、この国には十分には無い。それが歯がゆい。

その時、感じたのが、最初のタイトルである。
普通なら「最近の若い者は」の後は「何を考えているのか判らない」と続くところだ。
しかし、私は、そうは思わない。

「最近の若い者は、なかなかのものだ。早く日本を彼らに任せたい」と思うのだ。

最近、今回の講演だけでなく、20代から30代前半の人と話す機会が多い。
マスコミでは、フリーターとかニートとかが問題になっている世代だ。
だが、私が話をする若者達は、皆、そんなに悪くない。
むしろ、我々や更にその上の世代よりもしっかりと生きているように見える。

そう言った「しっかりした」若者は、少数派だと思っていたのだが、だんだん、そう思えなくなってきた。
あまりに、しっかりした若者が多いからだ。

なぜ、若者をフリーターとかニートとかだけでとらえようとするのだろうか?
なぜ、逆に、しっかりとした若者を、マスコミは報道しないのだろうか?

どうも、年長者は、「若者=未熟者」とのレッテルを貼りたがっているようにしか思えない。
その根源にあるのは、年長者が、若者の追い求めている「夢」を理解できないからのように思える。

若者が求めている夢は、お金を稼ぐ事でも食べる事でも無い。もっと、壮大な夢だ。もっと、芸術的な夢だ。

しかし、そんな夢を「何を現実離れした事を言っているんだ。まじめに働け。働かないと食べられないぞ」と年長者は言うだろう。それは日本が貧しく、飢えて居た時代に、育った年長者の価値感だ。
今の若者は、飢えた事も無いし、お金に困った事も無い。

だから、彼らの仕事に対するモチベーションは、お金でも食べ物でもない。

だが、彼らも考えることは考える。彼らの仕事に対するモチベーションは、もっと大きく人類に対する貢献とか芸術とか、そう言ったものに変わって来ているのだろう。

「飢えた事も無いし、お金に困った事も無い」若者を「甘ちゃん」扱いしたいのは判る。

だが、彼らは逆に、「大人」なのだ。
日本と言う国が、少なくとも経済的・物質的に一人前になってから育った彼らは、次の精神的な価値を追える「大人の国」の住人だ。
年長者の方がむしろ、「日本が子供の時代」に育った「子供の国」の住人に思えてくる。
私は、わずか一年英国に住んだ事があるだけだが、英国人の価値観は、日本の年長者よりも、むしろ最近の若者に近い。少なくとも私には、そう思える。そして、英国はアメリカよりも何処よりも大人の国なのは万人が認めるところであろう。

今、現在、その移り変わりの時代なのだと思う。
日本という国が、経済的・物質的・精神的にも、子供から大人へ変わろうとしている時代では無いか。
上手く、大人へ脱皮することができたら・・と願う。

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Comments

フリーターとかニートなるものは マスコミ(テレビ、新聞)連中が勝手に作った偶像です。

Posted by: bewind | April 29, 2007 at 08:36 PM

こんばんは、いつも拝見させていただいています。
今回のエントリは、自分の中にとても腑に落ちました。お金や食べ物が欲しいのではなく、なんだかもっと素敵な何かを探して…ロケットや宇宙に憧れ、研究者の方々がきらきらと目を輝かせて講演しているのをお聞きしてこちらもうれしくなるのは、そういうことだったのかなあと思っています。(ロフトプラスワンにもたびたび伺っております)
一方で、そういう「何かに飢えている」ということもわからないまま、既存の価値観についていけず無気力になってしまっているのがニートやフリーター(の一部)なのかなあ、とも思いました。そういう意味でも、価値観の共有ができていたころは総中流でいられたけど、共有できる価値観がなくなり、自分の夢を追える人と追えない人で二極化してしまっているという状況は、あるのかもしれません。
夢も多種多様になり、ある人の夢がある人にとっては何がいいのかわからないということで、マスコミは取り上げられないのかもしれません。ネットニュースなどで細々と上がってはいるけれど…。「マス」に放送するという姿勢がすでに時代遅れなのかもしれませんね。

とりとめのないコメントになってしまい、申し訳ございません。どんぴしゃの世代で記事に大変共感し、その気持ちを残しておきたく書かせていただきました。

Posted by: ちょうど30です | April 29, 2007 at 11:38 PM

 お久しぶりです。いつも拝見させていただいていますが今回のお話は私が感じている事と同じことがまさに書かれていて、大変共感しました。

 私の知り合いにも世間で言うフリーターがいますが、仕事以外の面で高い目標や理想をもっている人も多いです。一方で、定職に就いていて、優秀な能力を持った若い技術者も知り合いに何人もいますが、なかなか彼らの能力を発揮できる環境というのは無いようです。

 若い方ではありませんが、知り合いのある技術者がアメリカの企業で働いていて、あちらでの職場の話などをよく聞くのですが、本当に、優秀な人ほどアメリカへ行って働いたほうが良いのではないかと思えてきます。アメリカは好きではないのですが、それでも日本より夢があると思いますし、ご指摘のような、押し付けがましい日本的な労働に対する考え方も無いようです。本当に、アメリカで働く知人が羨ましく思えます。

 野田さんのこのブログを読むと、将来の日本に期待していいのか、失望していいのか、わからなくなってきますね。

Posted by: 安井 吏 | April 30, 2007 at 09:04 PM

御無沙汰しております。「たまり場」の件では、野尻さんにコメント欄で取り上げていただいているとは人伝に聞いていましたが、ちと不幸があったりでバタバタしておりました。
今回書かれていることもそうなんですが、大学生と接していると僕の時よりもずっと勢いを感じる(自分達でロケットを作って宇宙まで飛ばそうとか)のですが、一方でよい子にまとまっているというか、大人側からの締め付け?が厳しいようにも感じています。
うちの大学の話しではこんな例があります。前までは学生が事務に出向いて運動場の使用許可を取ってモデルロケットの打上を行っていました。ところが先日、”学長との対話”企画があり、学生がそこで”学内で燃焼実験を行いたい。安全距離等に関しては問題なくても騒音について学内・学外の理解を得るのに御協力いただきたい”という趣旨の発言をしてきたらしいのですが・・・。その結果どうなったかというと、事務から僕のところに電話があって、”モデルロケットの打上許可を出す際に、書類に先生の署名捺印を入れてください”。なんじゃそりゃ;
モデルロケットに関しては、学生はちゃんとライセンスも保持(指導講師ライセンスも持っている)しているとかそのあたりの事情を説明したのに、そのあげくにこれです。なんだかなぁ。
うちのセンターは宇宙色が強いですが、”法律と社会生活を送る上での常識をきちんと守った上で、自分達がやりたいことを実現していく方法を探りながら、何にでもチャレンジしていこう”というのがモットーです。ケツは持ってやるからガンガンやれ、って事です。こんな雰囲気を全国に作りたいのですが、僕の宣伝が悪いのかもしれないけど、うちの学生からですらそれに呼応する動きってなかなか無いんですよねぇ。。。

Posted by: akiaki | May 01, 2007 at 12:57 PM

bewindさん、「ちょうど30です」さん(?)、はじめまして、よろしくお願いします。
安井 吏さん、akiakiさん、 ご無沙汰しております。
そう言えば、安井さんもそろそろ30前後でしたっけ?

bewindさんの言うように、フリーターとかニートはマスコミの作り上げた偶像のような気がしてきました。もちろん、現実にフリーターやニートにあたる人が全く居ないわけでは無いでしょうが、昔も、それに当たる人は居たわけで、現在はマスコミが必要以上に取りただしているのだと思います。

「ちょうど30です」さんや安井さんと言った年齢が一致する方々が共感してくれると言う事は、私の感じていることも全くの外れでは無い様です。

>野田さんのこのブログを読むと、将来の日本に期待していいのか、失望し
>ていいのか、わからなくなってきますね。
私は、楽観視していますよ、意外と。
もし、若い世代が全く駄目だと、日本の将来も期待できません。ですが、悲観的な見方はマスコミが煽っているだけで、実際の若い世代がしっかりしているなら、将来は期待できるでしょう。

問題は、しっかりした若い世代を受け入れる土壌を何とかしなければならないことです。幾ら若い人が育っても、プロ野球みたいにイチローも松井も松坂もメジャーに行くように、アメリカに行くようになったら、日本は駄目になりますよね。この「土壌」は急務ですね。これは若い世代の自身の問題ではなくて、我々やもっと年長者の世代と社会の問題です。

もう一つの問題は、若い人達自身の問題もあると思います。
それは、自分の夢とか理想を「胸を張って、正々堂々と主張」していない事です。
良く、「若い人は夢を持っていない、見つけていない」とか言いますが、本当のところ多くは、そうではなく「夢を持っているのだが、何らかの理由で主張していない」のではないかと思っています。

今の若い世代の夢は、「ちょうど30です」さんの言われるように多様化していますから、「何らかの理由」も多様化しているのですが、思うに「恥ずかしい」とか「理解されない」とかが原因なのではないかと思われます。

例えば、例えばですよ、「自分の夢は世界・人類の正義のために貢献したい」とか言いますよね。
多分、「そんな荒唐無稽なこと」とか「何を馬鹿な」とか「そんなことは、おまえ一人の力で不可能だよ」とか言われるじゃないですか。
そう言うことを言われるのは、「恥ずかしい」とか「理解されないのは嫌だ」とかで、主張すること自体を引っ込めているように見えます。

もちろん、人によっては、「新しい知を求める」でも「芸術を極める」でも何でも良いのですが、結局、「理解されない、恥ずかしい」とかで主張を止めてしまったのでは同じです。

「荒唐無稽」でも「理解されない」でも良いから、正々堂々と主張したら良いんです。夢だって多種多様になっているのですから、理解されなくって当たり前です。逆に年長者に理解されやすいようにと、自分を曲げて主張しない方が良いです。自分の思ったとおりに、正々堂々と主張すれば良いのです。

「不可能」だからと言って、主張を止める必要も無いでしょう。
最初は不可能だと思えても、主張しているうちに活路を見出せるものです。
逆に、最初から「可能」だと判っているような小さな夢なら価値も小さいのです。

若い人達が正々堂々と「多種多様な壮大な夢」を主張するようになったら、年長者達も耳を傾けるようになり、社会も良くなっていくんじゃないかって思います。

楽観的過ぎるかなあ・・・

ところで、このブログ、昨日から記録的なアクセス数を出しています。
よほど記事が注目されたようです。

Posted by: 野田篤司 | May 01, 2007 at 11:48 PM

読ませていただいて、勇気をいただきました。
40過ぎにもなって、これだけいろんな人に迷惑かけて、
それでも夢を追いかけるかなあと気持ちが後退しかけていました。
出来るか出来ないかわかりませんが、
少なくとも出来るところまではやってみていいじゃないかと、
自分を励ましてやろうと思いました。

Posted by: ぱふ | May 04, 2007 at 09:00 AM

ぱふさん、はじめまして。(「はじめまして」ですよね? どうも何か覚えがあるような無いような。過去のコメント等をチェックしましたが、無かったようなので・・ もし、はじめてで無ければ、申し訳ありません。)

夢を追いかける事に年齢は関係ないと思います。
若い人も頑張って欲しいですが、我々と同じ世代の人も頑張らないと・・・

ただ、世代の違いなどの理由で、他の人の夢の価値が理解できなくても、批判せず、理解しようと努めなきゃいけないと言うだけだと思います。

Posted by: 野田篤司 | May 06, 2007 at 05:35 PM

表題にすっかりだまされてしまいました。先入観をもってはいけませんね。
私もバブル崩壊後の就職氷河期に社会に出た人たちは苦労しているぶんしっかりしていると感じています。職場を見回してみても高度成長期に楽をしてきた団塊の世代なんかより優秀ですよ(経験を除けばですが)。バブル期に就職した人たちも今ひとつですね。団塊の世代は無理でもバブル期の世代の人達は早く追い抜いて欲しいものです。といいつつなかなか年功序列の悪習は改まらないですね。

今の若者が主張しないというのは確かだと思います。社会的に恵まれないのもそのためだと最近考えるようになりました。どんな形にせよ主張した人の意見が聞き入られますよ。アメリカなんかではなおさらそうだと思いますが、日本でもその傾向は強くなっていると感じます。

もう一つ若者の夢を理解できないからといって馬鹿にするのもその世代の度量の小ささのような気がします。もっと上の戦争を経験してきた世代は理解できなくても認める度量の大きい人がそれなりに居たような気がします。現状ほとんど一線から退いてしまって影響力がもうないですけどね。

Posted by: 半日庵 | May 07, 2007 at 09:15 PM

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