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July 08, 2006

ビーグルⅡ世号・カットアンドトライ

E060なかなかビーグルⅡ世号が飛んでくれないのは、このコンテンツに野尻さんがコメントしてくれたように、垂直尾翼が大きすぎるのが原因のようだ。
そこで、実際にビーグルⅡ世号の垂直尾翼の大きさを変えながら、文字通り「カットアンドトライ」で実験してみた。

二週間前に壊した胴体後部を補修し、プロペラプラグにクリアラッカーを塗って防水処理し、写真のように垂直尾翼に切取り用の線を描いたりと準備した。用意万端整った状態で、飛行を待っていたのだが、天候が悪かったり、忙しかったりで、今朝、やっと実験飛行することができた。

垂直尾翼には、写真のように色分けした切取り用の線を描いておいた。この線にあわせて、垂直尾翼をハサミで切り取り、垂直尾翼の効果を表す数値である(垂直尾翼容積比)=(垂直尾翼面積×モーメントアーム)/(主翼面積×主翼スパン)を変化させながら、飛行の安定性を調べる。
なお、正確に計算しなおしたところ、切取る前の状態で(垂直尾翼容積比)=0.063、緑色の線で切ると 0.054 、赤線で 0.046、青線で 0.037、黒線で 0.027 である。

現在、ビーグルⅡ世号には、二種類の主翼を用意してある。一つは翼端のみに上反角を持った主翼、もう一つは二重に上反角を持った主翼である。実験飛行は、同じ垂直尾翼面積の時、両方の主翼を用いて安定性をテストする。

事前の予想では、野尻さんの NLP-1 は0.042~0.059でうまく行ったと言うことなので、緑線と赤線の辺りで安定しそうだ。また、上反角が大きいと実際上の垂直尾翼容積比が下がると言う事なので、上反角の大きい二重上反角の主翼の方が、より垂直尾翼容積比の大きな状態で安定すると予想できる。

実際に試験をした結果は、予想と微妙に異なった。

まず、二重上反角の主翼の場合は、ほぼ予想通りであった。緑線(0.054)と赤線(0.046)は安定して飛ぶ。特に緑線は綺麗に糸を引いたように理想的な滑空をした。青線(0.037)は、左右に振り子のように振れると言う、上反角が大き過ぎて垂直尾翼容積比が少なすぎる時の典型的な飛行状態になった。

予想と異なったのが、翼端上反角の主翼である。緑線(0.054)の時こそ、安定して滑空したが、やや左周回がきつ過ぎる様だった。赤線(0.046)でも滑空が安定しないが、青線(0.037)に至っては、手投げ滑空すらできないほど暴れまくった。最初の予想では、二重上反角の場合より、垂直尾翼容積比が小さい状態まで安定が取れる筈だった。しかし、実際は逆で、二重上反角の主翼の方が、垂直尾翼容積比が小さい状態まで安定だった。
どうやら、翼端上反角の主翼は、上反角が少な過ぎるようだ。

なお、青線ですら、両方の主翼で安定が取れないことから、垂直尾翼容積比= 0.027 となる黒線での飛行は行わなかった。

さて、次の方向性が決まった。
・垂直尾翼容積比が 0.05 前後のなるように、胴体後半部と垂直尾翼を作り直す。
 胴体後部は、2週間前に折れ曲がって、現状応急修理の状態なので、この際、作り直す。
・翼端上反角の主翼は、上反角を大きく作り直す。
・二重上反角の主翼は、このまま。

次の飛ばすときは、滞空時間を長くすることを目指そうと思う。

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Comments

上反角が大きいとき、大きな垂直尾翼を必要とするのは、横滑りをしたとき、左右の翼により大きな迎え角の差が生じて、より大きな揚力差(ローリング・モーメント)・抗力差(ヨーイングモーメント)を発生させるからです。三角関数を使えば定量的に計算できますが、ここでは感覚的に理解してください。

同じ上反角(翼端の高さ)で、V字型の一段上反角と、上反角をつける位置が翼端に近く、外翼が急角度の上反角になっている、極端な翼端上反角を比べてみます。(2段上反角は、この中間の形で、中間の特性を示すはずです。)
極端な翼端上反角の場合、一定角の横滑りのとき、V字型の一段上反角に比べるとより大きい左右翼の迎え角差が生じます。
そして、それによる揚力差・抗力差の力がかかる場所は、翼端に寄ります。
これに対して、一段上反角の場合は機軸と翼端の真ん中です。
従って、揚力差・抗力差によって機体がこじられ、姿勢を乱す
力のかかる場所の機軸からの距離(モーメントアーム)は、翼端上反角のほうが大きいわけです。
だから、翼端上反角のほうがダッチロールを起こしやすく、同じ上反角でもより大きな垂直尾翼を必要とするはずです。

Posted by: 趣味際人 | July 11, 2006 at 02:17 AM

すいません、レスが遅れてしまい、申し訳ありません。
昨日まで、ココログのメンテがあったようで、レスができない状態でした。

趣味際人さんの説明、理解できました。
つまり、垂直尾翼容積比の上限は、(他の諸条件が同一なら)、主翼の側面方向の断面積で決まるわけですね。(正確には側面方向の断面積と抵抗係数Cdの積だと思いますけど)
そして、垂直尾翼容積比の下限は、横滑りしたときに主翼の発生するロール軸回りの復元トルクで決まるわけですね。

私の作った二つの主翼は、
・主翼の側面方向の断面積は、二重上反角の主翼の方が大きい。
・横滑りしたときのトルクは、翼端上反角の主翼の方が大きい。
ので、二重上反角の主翼の方が、安定する垂直尾翼容積比の範囲が大きいと言う結果になったのですね。

これで、先日のテスト飛行の実験結果も理解できました。
垂直尾翼容積比の安定領域は、上限も下限も、主翼の側面方向断面積で決まると勘違いしていたので、「おかしいなあ」と思ったわけですね。
趣味際人さん、どうも有難うございました。

ところで、新たなる疑問が沸いてきました。
二重上反角の方が、翼端上反角よりも、安定する垂直尾翼容積比の範囲が大きい、つまり、安定した機体を作りやすい事がわかりました。工作は二重上反角の方が難しいのですが、このようなメリットがあるなら、面倒な工作しても二重上反角を作る価値があると納得できます。
でも、その論理なら、さらに安定する範囲の広いはずの「単純なV字の上反角の主翼」の方が良くなりますよね。
わざわざ、工作の面倒な二重上反角の主翼を作るメリットが理解できなくなりました。「単純なV字の上反角の主翼」が作るのは一番楽ですから。

想像するに、「単純なV字の上反角の主翼」に比べ「二重上反角の主翼」の方が・・
・横滑り時のロール軸回りの復元トルクが大きくなり、ロールが安定しやすい。
・円弧に近い上反角のため、ロール軸周りの復元トルクの発生量が、横滑り量に対して線形的に連続的に変化するため、ロールの安定範囲が大きい。
などが思い付きます。

また、実際に「単純なV字の上反角の主翼」も作って、実験したくなってきました。

Posted by: 野田篤司 | July 14, 2006 at 06:58 AM

V型上反角と翼端上反角の利害得失

主翼だけの揚力と抗力を考えた場合
  揚力=投影面積に比例
  抗力=展開面積に比例

展開面積はV型上反角のほうが翼端上反角より1~2%小さいので、理屈の上ではそれだけ揚抗比に差がつきます。(V型のほうが性能が良い)
加えて、強い翼端上反角ならば、上反角のところで両方の気流が干渉を起こし、変な渦が生ずる可能性があります。これも理屈の上ではV型のプラス要因です。

然るに、現実は翼端または2段のほうが好まれ、多数派です。
この理由は、安定の差といえ、一般にはV型のほうが旋回調整がやりにくいのです。

翼端・2段上反角の場合、外側の上反角の強い部分は、中央の水平部分に比べて迎え角が小さくなり、翼端ねじり下げをつけた場合と同様になるため、中央と翼端の迎え角が同じように増減するV型よりも翼端失速を起こしにくいわけです。

例えば翼端上反角が45度の場合、中央の水平部の迎え角が10度ならば、翼端部の迎え角はその(cos上反角)倍の約7度になります。(厳密には翼端渦による減角があるがここでは省略)

それならば、V型上反角に3度のねじり下げをつければ、同じかと言えば、そうはならない場合があります。
ねじれのない翼端上反角の場合、翼端の迎え角は中央がどの様な迎え角であっても、その0.7倍の角度になります。
ところが、3度ねじったV型上反角の場合、中央が3度ならば翼端は0度になります。

一般に左右の翼には違った大きさのねじれをつけますから、V型の場合、中央の迎え角の増減によって、左右の翼のねじれの効き方が同じように増減しないことになります。(ねじれの差で効く)
これに対して、翼端上反角の場合は、両翼の端が中央に比べて一定の比率で迎え角が減るので、迎え角の増減によって左右の利き方が変わってきません。
この点が旋回調整の難易に出るのだと思います。


Posted by: 趣味際人 | July 14, 2006 at 06:39 PM

趣味際人さん、どうも有難うございます。
翼端上反角や二重上反角が、ねじり下げと同じ効果を持つことは、以前に聞いた事があります。
しかし、その効果が、「両翼の端が中央に比べて一定の比率で迎え角が減る」のように変わってくるとは知りませんでした。

なるほど、そのため、V字上反角に比べ、翼端上反角や二重上反角の方が旋回性の調整に有利になるとは思っても居ませんでした。

いや、フリーフライトは、色々な安定性や調整性など絡みあって面白いですね。つくづく、深さを思い知らされます。

Posted by: 野田篤司 | July 22, 2006 at 05:39 PM

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