50センチ級スチレンペーパー機・新ライトプレーン 完成
以前から、早く作りたいと言って居たゴム動力機のオールスチレンペーパーの「ビーグル号」と、新ライトプレーンの「ダックス号」が、次々と完成した。
まず、一足早く完成したのが、オールスチレンペーパーのゴム動力機「ビーグル号」だ。
この機体、主翼は「へ」の字に折り曲げたスチレンペーパー、尾翼は単なるスチレンペーパーで、複雑なのはスチレンペーパーをチューブ状に加工した胴体くらいの簡単な構成だ。暇な時間さえできれば、すぐにできると思っていたが、やはり、作業に取り掛かれば、あっと言う間に完成した。実作業時間は 3日間程度のものである。
実際に作ってみると、胴体用のチューブを作るところも、そんなに難しくなく、全体としては「簡単に作れた」と感じた。目標質量が 40 グラムに対し、完成質量は 33 グラムしかなく、軽くできた。
先の土曜日は、最近には珍しく風も無く暖かい日だったので、早速いつもの公園に出かける。
まず、手投げで滑空させると、頭から突っ込み気味だった。主翼取り付け部の前縁にカイモノを挟み、再び投げると、ちゃんと滑空した。
次は軽くゴムを巻いて投げてみる。
動力飛行中は激しくピッチング。ダウンスラストが足りないと判断し、プロペラ取り付け部(プラグ)にカイモノを入れ、下に向ける。
今度は良くなった。軽く上昇した後、滑空に移る。特徴的な高いパイロンのお陰か、二重上反角のためか、滑空は安定している。
ただ、降下率は、やや高い気がする。この傾向は 35 センチ級のスチレンペーパー機の時もあった。大型化して少しは良くなったが、まだ不満である。野尻さんの言うように、空転ペラが空気抵抗になっているのか、パイロンの抵抗のせいか、はたまた、「へ」の字に折り曲げただけの主翼の性能が悪いのか、この時点では判断できない。
早くも、折りペラとかジェデルスキー翼とか作りたくなってしまった。
まだ、ゴムは半分も巻いて無い状態での飛行であったが、既に公園から飛び出しそうになったので、この日のテスト飛行は、ここまでとした。35 センチ級のスチレンペーパー機に比べると、機体が大きく性能も上がった分、広い場所が必要なようだ。
次に、新ライトプレーンの「ダックス号」が完成した。名前は、もちろん犬の種類から取った。
こちらは、真鍮製のコメタルの製作に少し時間がかかったが、それ以外は簡単だ。
写真のように、二本の胴体と翼端上反角、折りペラが特徴である。
全質量は、39 グラム。ビーグル号と比べると、ちょうど胴体用の角材一本分だけ重い。主翼は、翼端上反角だが、ビーグル号の二重上反角の主翼と、投影の形状・面積は同じにしてある。この主翼、形状が簡単になった分だけ軽くなると期待したのだが、わずか 0.5 グラムしか変わらなかった。
主翼と水平尾翼は、輪ゴムで取り付けていて、取り付け部のインターフェースはビーグル号とダックス号と同一にしている。だから、交換して性能の比較ができる。
ダックス号は、ビーグル号より一日遅れて完成した。翌日の日曜日は、前日とは変わって、強い北風の天気となった。とても 40 グラム未満のゴム動力機を飛ばす天候ではない。
残念ながら、「新ライトプレーン」の飛行報告は、来週以降になりそうだ。
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Comments
模型航空の入門機について分析しているところです。近日中に私のブログに乗せますが、要旨は次のようになります。
1、模型航空に参入するための入門機は、必ずしも簡単に飛ぶものが適しているわけではない。(物作りの教材の場合は少し違う。後述)
2、正則的な飛ばし方をしない場合は、理屈どおりにツイラクすることも必要。そのときの落ち方の過程は観察しやすく、わかりやすいことが条件。だから、挙動がゆっくりした大型機が望ましい。
3、ツイラクの結果、理屈どおりに壊れることも要件となる。あとから補強、改良の参考になるように、わかりやすく壊れること。
壊れるということは、研究・上達のためのムチにもなる。
4、2と3の要求から、あまり簡単な小型機では次のステップのための知識が得られない。強度の分担がわかる構造となると、ある程度の大きさと部品数が必要。
5、「ものつくり」の教材として模型機を作る場合は、次には別種の「もの」を作るわけだから、成功・失敗の見分け方は上記ほど細かくなくても良い。つまり、多くが良く飛んで、完成・満足の感覚を得やすいほうが良いのでは?
Posted by: 趣味際人 | February 17, 2006 08:50 PM
お、一気に両方完成させたんですね。私のほうはまだ未着手で、このぶんだときしめん大会も計時の手伝いだけになりそうです。
スチレン機、新ライトプレーンとも、ノーズがやけに長く見えますが、広角レンズのせいでしょうか。あるいはまだ重心を合わせる前に撮ったんでしょうか。もしオモリなしで重心を合わせようとしているなら、オモリを積んでテールモーメントをしっかり確保したほうがいいと思います。
両機とも主翼の厚みというか曲率が大きい印象があります。普通のライトプレーンだと(翼弦の)5%くらいでしょうか。自分で探ってみたところでは、翼弦が10cmくらいなら翼厚は6%前後かなあ?というところです。
スチレン機の滑空が悪いのは90%以上空転ペラのせいでしょう。折りペラにすればみちがえると思います。
Posted by: 野尻抱介 | February 17, 2006 10:18 PM
こんにちは。初めて投稿させていただきます。以前から、ちょくちょく見させていただいていましたが、スチレン機を作られたということで一言書き込みます。私は超極小のスチレンのライトプレーンやスケール機もどきを作っています。小さいのでフライト時間が短く、なんとか伸びないかなと考えています。今日は、スチレンの曲げ方を調べていて貴HPに立ち寄りました。大きい機体も悠然と飛びそうで魅力がありますね。また、寄せていただきます。
Posted by: Northern Stripe | February 18, 2006 10:49 AM
趣味際人さん、
確かに「教育」などを考慮したら、あまり簡単に飛ぶ「入門機」はいけないのかも知れません。
「新ライトプレーン」は飛び過ぎかも知れません。(まだ、ろくに動力飛行してませんが)
とは言え、現時点では「できるだけ飛ぶように」と設計/製作を進めてしまっています。
野尻さん、
ノーズが長く見えるは、広角レンズ(35ミリフイルム換算で焦点距離35ミリ)と私の手が短いのが原因だと思います。
今日アップしたブログの記事の「公園の木の枝に引っかかったダックス号」の写真を見るとテールモーメントが十分取れていることが判ると思います。
とは言え、オールスチレンペーパー機「ビーグル号」の方は、実は、設計時よりも主翼を後ろに下げています。予定よりも全体的に軽くできたために、相対的にテールヘビイになったためです。一応、尾翼容積を計算し直して、十分な量があることを確認した上で判断しました。試験飛行でも安定性は十分あることは確認済みです。とは言え、野尻さんの言うように「オモリを積んでテールモーメントをしっかり確保」した方が良かったかと反省もしています。
新ライトプレーン「ダックス号」の方は、当初の設計通りのテールモーメントを確保しています。
主翼の厚みは、両機とも8パーセント強です。ちょっと大きすぎるかも知れません。
「スチレン機の滑空が悪いのは90%以上空転ペラのせいでしょう。」は、ビンゴです。
今日、アップした「ダックス号」の初飛行の記事にもありますが、折りペラを付けた「ダックス号」は「糸を引いたように」滑空します。また、ダックス号の折りペラを開いた状態で固定して滑空させると、ビーグル号と同じように滑空が悪くなることを確認しました。
今、ビーグル号用の折りペラを作っている最中です。
Northern Stripe さん、はじめまして、こちらこそよろしくお願いします。
Northern Stripe さんのホームページは昨年10月に初めて模型飛行機の話をアップした時に参考にさせていただきました。
「超極小のスチレンのライトプレーンやスケール機もどき」は、素晴らしいものだと感心しております。
飛行機は、小型にする程難しいようで、Northern Stripe さんが挑戦している領域は、全く理論も通用しないようです。
私の「ビーグル号」の写真を、藤井孝藏先生(知る人ぞ知る流体力学、特にコンピュータによるシミュレーションの日本一の権威。飛行機大好きで、夢は火星に飛行機を飛ばすこと)にお見せした時にも「このくらい(小さくて遅く)になると理論も何も通用しないんだよなあ」との事。
「ビーグル号」よりも更に小さい Northern Stripe さんの超極小機は、 Northern Stripe さんの経験則こそが世界の最高でしょう。
是非、更に良く飛ぶよう、頑張ってください。
Posted by: 野田篤司 | February 18, 2006 02:14 PM