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May 19, 2005

システムエンジニアリング(その6)要求分析

se005 前回の「システムエンジニアリング(その5)」で、さらりと書いて、ちゃんと説明をしなかった事がある。
「要求をスペックで置き換えてはいけない」についてだ。
今回は、この事について説明しようと思う。

ユーザーから、「要求」を聞き、その要求に合せたモノを作らないと良いモノが作れないと言うことは、前まで何回も書いたし、同意してもらえると思う。
そこで、「良いモノ作り」には「良い要求が必要」と言う事になる。
ここまでは良いのだが、「良いモノが作れないのは、良い要求が無いからだ!」とか「良い要求を俺にくれ!」と言い出すエンジニアが居るが、それは間違いだ。
「良い要求」が無いのなら、作れば良い。「良い要求」は、努力しなくても天から降ってくるようなものではなく、ユーザーとなり得る人と協力し、作り上げるものだ。

そもそも、ユーザーが、最初から明確な要求を持ってやって来ることなど、ほとんど無い。
既に同じようなモノが市場に出回って居れば、話は別だが、全くの新規モノの開発や飛躍的な改良の時は、ユーザーは曖昧模糊としたイメージを持って居るに過ぎない。

「ユーザーの持つ曖昧模糊とした要求のイメージ」を、はっきりさせ、「具体性を持つ明確な要求」にして、モノ作りに活かせるようにするのは、「システムエンジニア」の役目であり、責任だ。

ここで、「ユーザーの曖昧模糊としたイメージに、具体性を持たせ、明確な要求」にする時に、「要求をスペックで置き換えてはいけない」のである。多くのエンジニアは、この間違いをおかしがちだし、また、間違いだと気付いて居ない場合すら多い。

何故、「スペック」に置き換えてはいけないかと言うと、「スペックが決まると言う事」は、その「前提となるハードウェアやソフトウエアの構成が決まっている」事を意味するからだ。その「ハードウェアやソフトウエアの構成」すなわち「システム」の決定が明文化されて居る場合もあるが、多くの場合「暗黙の了承」と言う形で決まってしまっている。
暗黙であろうと明文化されていようと、予め「ハードウェアやソフトウエアの構成」が決まっていると、後の開発を助けるどころか、間違った方向に突き進む場合がある。前回の「桶とポンプ」が、その良い例になって居ると思う。

要求は、「システム」から分離した形で明確にしなければならない。

前回の要求は、次のような文だった。
「毎日、水を運ぶので、できるだけ多い量の水を井戸から家に運びたい。」
この文の中には、「桶」と言う言葉は出てこないし、また、暗黙の内にも「桶」を連想させる部分は無いようにしていた。

だが、その一方で、「ユーザーの持つ曖昧模糊としたイメージ」を明確にするために、「具体的なシステムの構成とスペック及び使用方法(運用)」の例示が必要になる場合が多い。私の経験では、「ユーザーのイメージ」の明確化のためには、程度の差はあれ「具体的な例示」が、ほぼ100%必要になると言える。

まるで、矛盾するようだが、「要求は、具体的なシステムから分離」する一方、「要求の明確化のためには、システムの具体化」が必要になる。

実際には、どうするのか?
実践編は、後半に続く・・・

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Comments

要求の明確化のためには、「ミッションの具体化」でわ?

Posted by: kodama | June 06, 2005 09:20 AM

「システム・エンジニアリング」に対するコメント:趣味際人

模型航空は、遊びとしてのシステム・エンジニアリングだと思います。
「システム」という言葉は多義であり、しばしば誤用されるのでわかりにくいのですが、広辞苑によれば「①組織、制度、②系統、体系」、英和大辞典(岩波)によれば、①(自然や人工物の)系統、体系、系。②略(生物、地層、鉱物の用語)。③略(思想などの用語)。④制度。⑤方法、法、方式、体系的方法。(以下略)とあります。
システム・エンジニアリングの場合の「システム」は英和辞典の⑤に近いと思いますが、私は某システム工学解説書にあった「異質の要素をある目的に向けて纏め上げること、またその方法」という定義が、よくわかるように思います。

「板が不そろいの桶」の比喩は、栄養学の本で見た記憶があり、趣旨は同様でした。その反面教師が巨人の野球ということなのでしょう。ベンチに白衣を着たシステムエンジニアが座ることを期待します。

模型航空に「趣味際」というキーワードを使い始める前は、「システム・スポーツ」というキーワードを使っていました。大別しても「ホビー(もの造り)」という要素と、「スポーツ(体育的活動ならびに競技)」という異質の要素を含み、諸要素を飛行性能(競技性能)向上という目的に向けて最適化することを指向するからです。

自画自賛になるかもしれませんが、私の模型競技活動において「板が不そろいの桶」の比喩は体感しました。私が模型競技者であった1960年代のライバルには、航空工学を専攻し、陸上競技部に所属し、後年NASAに出向したK氏や、神業的技能を持つ木型職人がいました。
私は、文系卒事務職で、体育会には縁がありませんでしたが、ある要素が突出したライバルたちと五分以上に競うことができた時代がありました。「桶の短い板」(これは「運」であったかもしれませんが)が相対的に長かったからだと思います。模型航空が「システム・スポーツ」といえる証拠です。

欧米人のように、自分の手に届かないところはブラックボックスとして切り離すかどうかの区別は、モデラーのフリークによって分かれるようです。私のような古いフリーフライト屋は、すべてを管理しないと気がすまないのですが、BOM(自作機規定:競技機は競技者自身が製作しないといけないという規定条文)削除後のフリーフライト屋、RC屋などは自分の受け持ち分野を限定しているようです。


Posted by: 趣味際人 | December 14, 2005 08:23 PM

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