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May 31, 2005

僕の宇宙船 帰還カプセル

ss0031宇宙に行ったら、いずれは帰って来なければならない。
宇宙から帰って来るには、大気圏再突入が必要で、この時、大気との摩擦で高熱が発生したり、減速に高荷重や危険が伴う事は、良く知られている。

正確には、高熱が出るのは、大気との摩擦ではなくて、空力加熱なのだが、イメージ的な理解としては、そんなに酷いわけではない。

「僕の宇宙船」にも、大気圏再突入し帰還する機能が必要だ。出来るだけ、シンプルかつ安全・確実に帰って来れる方法を考えてみる。

現在、宇宙から帰って来るには、ソユーズのような「カプセル方式」とスペースシャトルのような「有翼方式」がある。一般的には、「有翼方式の方が安全確実で、特別な訓練を受けなくても誰でも乗れる」と言うイメージがあるようだ。だが、「カプセル方式」でも、「有翼方式」と同じくらい安全確実で「誰でも乗れる」宇宙船を作ることができる。むしろ、現実は「有翼方式」のスペースシャトルは「宇宙観光客」を受け入れて居ないが、「カプセル方式」のソユーズは「観光客」を受け入れており、「イメージ」とは逆に「誰でも乗れる」のは「カプセル方式」なのだ。

どうやら、「カプセル方式の宇宙船は、一般人には無理」と言うイメージは、ボストークやマーキュリーと言った極めて初期の「カプセル方式宇宙船」が作ったようだ。実際、ボストークやマーキュリー等の宇宙船が大気圏再突入する時は、8Gを超る減速加速度がかかる。体重60Kgの人なら500kgになってしまう。もちろん、座席に座って居る(と言うより寝て居る)状態だが、それでも、8Gに耐えるのは並大抵ではない。鍛え抜かれた宇宙飛行士のみが耐えられる。

ところが、ジェミニやソユーズと言った第二世代のカプセルになると、減速加速度は3G強ですみ、これなら、素人でも耐えられる。つまり、「カプセル方式の宇宙船は、一般人には無理」とは、「第一世代カプセル」だけで、それ以降の「カプセル方式宇宙船」には当てはまらない。「第一世代カプセル」なんて40年以上前の話なのに、未だに「間違ったイメージ」が世の中に通って居るとは驚いたものだ。
では、「第一世代カプセル」と「第二世代以降のカプセル」の違いは何だろう? 実は、両者の決定的な差は「揚力を持つか、持たないか」である。

「カプセルが揚力を持つ?」と、驚く人も多いかもしれない。「揚力」と言えば、鳥とか飛行機とかの翼に働く力の事だ。だから、スペースシャトルのような「有翼方式」ならともかく、「カプセル方式」に揚力が生まれるとは考えにくいのも当然だ。

「揚力の効果」は、一般的に「揚抗比」で表す。
「翼」には、進行方向と逆向きに働く抵抗力=「抗力」と、進行方向と垂直方向に働く「揚力」があり、
 揚抗比 = 揚力 ÷ 抗力
で示される。

「揚抗比」の値が大きいほど、翼としての性能が良い。普通の飛行機は「揚抗比=5」程度で、この場合、水平飛行するために必要な推進力は「飛行機の全質量の1/5」になる。「揚抗比」が大きいほど、推進力が小さくすみ、燃費が良くなる。
また、グライダーのように滑空する時も「揚抗比」が重要になる。滑空時の「降下率」は「揚抗比」に依存する。「揚抗比」が大きい場合はゆっくりと降りて着て、ふんわりと着陸する。「揚抗比=1」の場合、45度の角度で降下する。これは、滑空というより落下に近い。「揚抗比」が1より小さい場合は、落下だと思っても、あながち間違いではない。

一般的な飛行機やグライダーの場合、必要となる「揚抗比」は大きい値だ。それに匹敵するような「揚抗比」をカプセルのような形状で実現するのは不可能だ。

しかし、大気圏再突入時の減速加速度の軽減のためにカプセルが必要な「揚抗比」は、大きくはない。僅か 0.2 から 0.5 で、十分である。
この程度の「揚抗比」であれば、特に「翼」は要らない。イラストのように、カプセルの重心をずらして、進行方向に対して傾けるだけで十分だ。

このイラストは、「翼の揚力」を説明する時に良く用いられる「ベルヌーイの原理」の図とは異なる。カプセルは、極超音速で飛ぶので、「ベルヌーイの原理」の何も追い付け無いので、影響を受けないのだ。

それでは、どのように、この小さな揚力を使ってカプセルは、減速加速度を軽減させるのであろうか?
その秘密は、高度による大気密度の変化にある。

ss0032地球の周りの大気は、高度が高くなると薄くなる。
例えば、富士山の頂上なら、3分の2になり、ジェット旅客機が飛ぶ1万メートル(10キロ)の高度では4分の1である。
さらに、40キロを超たあたりで千分の1を切り、65キロあたりで1万分の1を切る。その先も、どんどん薄くなり、120キロを超たところで、1億分の1を切った後は、もう真空の宇宙と考えても良いだろう。

正確に言うと、この先も大気は、薄くはなるが、無くなる訳ではない。海のように、海面で水が有る/無しがいきなり変化する訳ではなく、連続的に変化し続ける。高度500キロでも、ごく薄い大気が有り、人工衛星や宇宙ステーションも大気抵抗で僅かずつだが、降下する。

大気は、上中下の3つの層に分けると判りやすい。

下層は、高度40キロ以下。人間が生きては行けないが、それなりに大気は濃い。
中層は、高度40キロから65キロ。ごく薄い大気が有る。飛行機などは飛べないが、大気圏再突入時の極超音速では大気の影響は大きい。
上層は、高度65キロから120キロ。あるかないか判らない程度の薄い大気が有る。大気の影響は少ない。
120キロより、上は真空の宇宙だ。

高度200キロ以上で、周回軌道を回っていた宇宙船は、逆噴射をして軌道離脱し、120キロで大気圏を再突入する。120キロから65キロまでは、姿勢が乱れる(揺れる)以外は大きな影響は無い。
65キロを切ると大気の影響は大きくなる。良く知られている大気圏再突入時の発熱や減速Gが始まる。
そのまま、十分な減速ができないまま、40キロを切ると、さらに大気が濃くなり、発熱や減速Gが最大になる。

以上が、揚力を持たない場合だ。揚力を持つカプセルでは、揚力を使い、高度40キロから65キロの中層に、長い時間をかけ薄い大気で十分に減速してから、下層に行く。既に速度が落ちているので、発熱や減速Gも大きくならない。

揚力は中層で「浮かぶ」ために有るのだが、カプセルが高速なので、「揚抗比」は少なくてすむ。

スペースシャトル等の有翼型宇宙船の翼は、滑走路に着陸するために大きく、「揚抗比」も大きくなっている。この大きな翼は大気圏再突入時は、むしろ邪魔で、翼の効果が少なくなるように底面から突入する姿勢を取っている。

「僕の宇宙船」では、カプセルの形状や「揚抗比」は、大気圏再突入時に最適化し、着陸はパラフォイルで行う。こうした方が、邪魔な翼が無い分、大気圏再突入時の構造強度の余裕が大きくできるからだ。
構造強度の余裕が大きい方が安全になるのは、もちろんだ。

だが、構造強度を高くするのは安全だけが目的ではない。カプセルの揚力には、減速Gの緩和以外にも使い道がある。

ss0033月や火星・金星からの帰還の場合、地球周回軌道とは比べ物にならない程の高速で大気圏再突入する。
この時、揚力の無いカプセルでは、中層では減速しきれないため、下層に突入し、猛烈な発熱と減速Gを受けるしかない。
揚力カプセルなら、「背面飛行」し、揚力を使って、中層で留まる時間を長くし、十分な時間をかけて減速することで、発熱や減速Gを抑えることができる。
もちろん、幾ら揚力で発熱や減速Gを抑えると言っても、地球周回軌道からの帰還よりは高い荷重がかかる。だから、「構造強度の余裕」が必要だ。

えっ、「『僕の宇宙船』は、宇宙に行って帰って来るだけじゃないの? 月とか火星まで行くの?」だって?

私は、最初から「目的地は地球周回だけ」なんて言っていない。そして、また、「月とか火星が目的地」だとも言うつもりもない。

「僕の宇宙船」の最終的な目的地は「月とか火星」なんて近場ではなく、もっともっと果てしなく遠い場所なのだから・・・・

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May 24, 2005

理想のPDA(その6)

z006
私の場合、長期的な ToDo が、なかなか実行に移せないと書いたが、その理由の一部は、長期的な ToDo の中には作業時間が長すぎるモノがあるせいだ。
作業時間が数分や数時間以内で納まるなら、短期的な ToDo として処理できるが、数日以上の期間に渡ると、そう言った処理ができなくなる。

それなら、長期間に渡る作業を、短期間の作業に分解すれば良い。
イラストは、海外旅行の準備を分解した物である。もともと、海外旅行の準備くらい、大して時間がかからないが、それでも数日以上のかかるし、パスポートが期限切れで再発行が必要になると、ずっと時間がかかる。

図の色分けは深い意味は無い。ただ、矢印は、「青矢印は作業開始のトリガー」「緑矢印は論理的順番」「赤矢印は物理的順番」みたいにしておいた。つまり、とりあえず、パスポートの期限確認をしないと、航空券購入ができない(別にパスポートが無いと購入できないと言う決まりがある訳じゃ無いが、心理的にパスポートの確認もせずに、何万から何十万円するであろう航空券の購入はしないと思う、多分)とか、着替えを用意をしてから、実際の荷物の詰め込みをするとか言ったものだ。

こう言った絵を描いて、「やるべき事」を細かい単位に分解すること自体は有効だ。
このような絵の描き方は、昔から色々とあった。PERT とか CPM とかガントチャートとか、色々な絵の描き方や流儀がある。イラストの絵は、相当いい加減だが、「ネット図」的な絵だ(詳しい人から、「そんなもん、ネット図じゃない」と怒られそうだが)。
また、そう言った図を描くためのソフトもある。マイクロソフト・プロジェクトが有名だが、PDA 用のソフトでも Palm 用に Progect(Project のスペルミスではない)と言うソフトもある。

こう言った色々な種類の図を、紙のシステム手帳に描いたり、色々なソフトを使って描いたりして試したことが何度もある。が、どれも上手く行っていない。

システム手帳など、紙に描いた場合は、変更等がやりにくい。
マイクロソフト・プロジェクト等のPC用のソフトは、そもそも大規模プロジェクト用の管理ソフトだから、個人の ToDo 管理には大袈裟すぎる。Palm 用の Progect は、個人用に作られて居るのだが、図は描けず、箇条書きにするだけのソフトで、物足りない。
今使って居る Zaurus 用には、適当なソフトが無いので、プログラムを自作してみたが、これも上手く行っていない。

どうも、このような「ネット図」を描くこと自体が問題ではなくて、その使い方に問題がある気がする。

一般的にネット図等を描く時は、「最初に、細分化する作業を全て洗い出す」事から始めなければならない。
ところが、個人でやる場合、一々細かいところまで考えるのは後回しにして、やれるところから始めて、「走りながら考える」事が多いだろう。
また、途中で気が変ったり、作業を進めて居る内に、新たな作業の必要性に気が付いたりして、変更が必要になる。

大人数で大規模プロジェクトを遂行して居るなら、実行途中の頻繁な計画変更は、混乱の元だから是非避けるべきだ。

しかし、個人の場合、自分以外に迷惑をかける人も居ないのだから、頻繁に計画を変更する。
ここで、下手に「ネット図」なんか描いて居ると、頻繁な変更に対応できないものだから、実際の作業と、どんどん離れて、役に立たなくなる。
また、最初の段階では「パスポートの期限が迫って居る場合」とか「ホテルの予約ができなかった場合」とか、色々なケースを想定する必要があるだろう。もちろん、あらゆるケースに対して細かい対処方法を用意することは無いが、ある程度は考えておくことは大事だ。

残念ながら、今まで色々なソフトを試したが、「頻繁な変更」や「想定ケース毎に計画を作る機能」で満足できた事は無い。
紙に描く場合は、「頻繁な変更」は難しい。「想定ケース毎に計画を作る」ためには、ケース毎に何枚も描くだけなのだが、ちょっとだけ違うけど同じような図を何枚も描くのは面倒だ。

だから、
・個人用だから、扱える規模は小さくて良い
・その代わり、状況に応じ、頻繁な計画変更にはフレキシブルに対応できる
・想定されるケース毎に、複数の計画を同時に管理できる
ような PDA (Zaurus) 用のソフトが欲しいなあ、と思って居る。

でも、一方で、上記のような理想的なソフトがあっても、それだけでは駄目な事も分かって居る。

ちゃんと「細分化された ToDo」できても、それを実行に移さなければ意味が無い。
私の性格から予想すると「ToDo が細分化」された事に満足して、いつまでも実行しないに違いないと思うのだ。

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May 20, 2005

宇宙版・金網デスマッチ

e012宇宙で、ロボコンとかロボワンのような大会をやってみたい。

大学生や高専生・一般社会人が作った人工衛星と言うかロボットを2機または、それ以上同時に打ち上げて、宇宙空間で、対戦を行う。一定時間内に、対戦相手を戦闘不能状態にしたら勝ちだ(別に戦闘的なルールでなくても、玉入れとか、高専ロボコン的なルールでも良い)

上も下も無い真空の宇宙で、音速の20倍を超る高速で軌道を周りながらのバトルである。絶対零度近い極低温と赤道直下の何倍もの太陽光を受け、降り注ぐ宇宙放射線の中と言う苛酷な環境での戦いだ。相手に勝つ以前に、この環境を生き延びることすら戦いだ。まさに技術と技術の真剣勝負である。

とまあ、こんな大会ができたらと、以前から考えていたのだが、本当に実現させるとなると何かと障害が多い。

一番の問題は、「打上げ費用は誰が持つのか?」と、お金の問題であるが、仮にお金の問題を棚に上げても、技術的な問題や、その他の問題が残る。

学生や一般社会人が、ロボット人工衛星を作ること自体は、今の技術水準なら問題ないと思う。2年前に、東大と東工大の学生が、それぞれ、10センチの立方体で、1キログラムの衛星を作り、ロシアのロケットで打上げて、ちゃんと動いている。

問題は、ロボット人工衛星がバトルし、戦闘不能に陥ったり、何かの不具合でコントロールができなくなった時である。制御不能のロボット人工衛星は、宇宙空間を漂い、「宇宙のゴミ」つまり「デブリ」となる。戦闘中に壊れて飛び散った部品もデブリになる。

また、宇宙空間では、予選を勝ち抜いたチームを少なくとも4チームは送って、準決勝2回、3位決定戦、決勝の4試合は行いたい。つまり、1台のロボット人工衛星は、2回戦う必要があるのだが、電池や燃料を使い切ったら、2試合目の相手の前に戻ってこれない。これまた、デブリである。

そもそも、宇宙空間での戦闘のためには、軌道制御が不可欠だが、そのための燃料に何を使うかが、問題だ。普通の衛星に良く使うヒドラジンなんて、猛毒だからやめた方が良い。高圧窒素は毒性は無いが、10気圧以上になると、高圧ガスになるので、法的に許可を取るのが大変だ。
一番、楽なのは、10気圧未満の圧力ガスで、密度の高い液体を噴射するのが良い。宇宙版の「ペットボトル・ロケット」である(噴射した液体は、完全に気化する物が良い。再凝結するとデブリになる)。

「ペットボトル・ロケット」を知っている人なら判ると思うが、簡単だが、すぐに燃料切れになるのだ。バトルに参加するロボット人工衛星以外にも主催者が人工衛星(もしくは打上げたロケットの上段)に、補給用のガスや液体、充電用の電力を用意すれば良い。しかし、そもそも、主催者人工衛星に戻ってこれなければアウトである。このようなランデブー・ドッキング技術は難しく、学生や一般社会人には敷居が高すぎる。主催者側が拾いに行くのだろうが、何処へ飛んで行ったか、判らない奴を回収するのは大変だ。

どうせ、対戦するなら、その映像を撮って、テレビ放送にしてもらいたい。カメラは主催者側の人工衛星に乗せておくのだろうが、バトルの間、双方のロボット人工衛星が、カメラの撮影範囲にいること自体難しい。大方の場合、一瞬で、カメラの前から2機とも消えてしまうだろう。

実は一番の問題は、地上からのコントロールだ。ロボット人工衛星に直接電波を送ってコントロールしたり、ロボット人工衛星から電波を送って状態や画像データを得るのは技術的に大変だ。最低でも数百キロ、離れている時は数千キロの遠距離の高速データ通信が必要になる。その上、電波の免許を取ると言う大変な作業が必要だ。
主催者側の人工衛星が、電波を中継してくれると技術的には楽になる。だが、電波の免許が必要な事には変りが無い。

宇宙空間の電波使用の免許は大変で、普通申請から取得まで3年くらいかかる。それでも、主催者側は3年かかっても取得できれば良いのだが、ロボット人工衛星側は、そうはいかない。予選勝ち抜いてから、3年も待ってられない。予選参加する前から全員が免許申請しておく訳にはいかないだろう。何とか、参加者側に免許が要らないようにしなければならない。

相当、永いこと悩んだが、問題がいっぺんに解決できる方法を思い付いた。それが、イラストの「金網デスマッチ」である。

金網は一辺が2メートル程度あり、打上げロケットの上段に付けられている。金網の中には参加者側のロボット4機と主催者側のレフリーロボットが入っている。

参加者側のロボットは、金網の中を「手足」を使って移動しても、「ペットボトル・ロケット」で動いても自由だ。もちろん、「ペットボトル・ロケット」用の補充ガス&液体及び充電は、仕合毎に主催者が提供してくれる。仮に燃料切れや電池切れになってもレフリーロボットが運んでくれる。

そこそも金網で囲われているので、不具合が起きても、どう壊れても「デブリ」にはならない。

また、金網の中には「無線LAN」用のルーターがある。当然、主催者側が地上のインターネットとルーティングする。参加者側ロボットは、無線LANさえ付ければ、後は簡単だ。ロボットにCMOSカメラを付けてストリーミングしておけば、地上はインターネットに接続するだけで、ロボットからの画像を見ることができる。ゲームパッドから入力して、ロボットをコントロールすることも可能だ。

金網には、シールド用のメッシュが張ってあるから、無線LANの電波が、外に漏れない。だから、参加者側に電波の免許も要らない。

「金網の中のバトルなんて狭すぎる」なんて言いなさんな。○×△に首絞められるぞ!

宇宙の金網デスマッチを勝ち残った勇者には、さらなるバトルフィールドを用意しよう!

次は「月面バトル・ロアイアル」だ!!

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May 19, 2005

システムエンジニアリング(その6)要求分析

se005 前回の「システムエンジニアリング(その5)」で、さらりと書いて、ちゃんと説明をしなかった事がある。
「要求をスペックで置き換えてはいけない」についてだ。
今回は、この事について説明しようと思う。

ユーザーから、「要求」を聞き、その要求に合せたモノを作らないと良いモノが作れないと言うことは、前まで何回も書いたし、同意してもらえると思う。
そこで、「良いモノ作り」には「良い要求が必要」と言う事になる。
ここまでは良いのだが、「良いモノが作れないのは、良い要求が無いからだ!」とか「良い要求を俺にくれ!」と言い出すエンジニアが居るが、それは間違いだ。
「良い要求」が無いのなら、作れば良い。「良い要求」は、努力しなくても天から降ってくるようなものではなく、ユーザーとなり得る人と協力し、作り上げるものだ。

そもそも、ユーザーが、最初から明確な要求を持ってやって来ることなど、ほとんど無い。
既に同じようなモノが市場に出回って居れば、話は別だが、全くの新規モノの開発や飛躍的な改良の時は、ユーザーは曖昧模糊としたイメージを持って居るに過ぎない。

「ユーザーの持つ曖昧模糊とした要求のイメージ」を、はっきりさせ、「具体性を持つ明確な要求」にして、モノ作りに活かせるようにするのは、「システムエンジニア」の役目であり、責任だ。

ここで、「ユーザーの曖昧模糊としたイメージに、具体性を持たせ、明確な要求」にする時に、「要求をスペックで置き換えてはいけない」のである。多くのエンジニアは、この間違いをおかしがちだし、また、間違いだと気付いて居ない場合すら多い。

何故、「スペック」に置き換えてはいけないかと言うと、「スペックが決まると言う事」は、その「前提となるハードウェアやソフトウエアの構成が決まっている」事を意味するからだ。その「ハードウェアやソフトウエアの構成」すなわち「システム」の決定が明文化されて居る場合もあるが、多くの場合「暗黙の了承」と言う形で決まってしまっている。
暗黙であろうと明文化されていようと、予め「ハードウェアやソフトウエアの構成」が決まっていると、後の開発を助けるどころか、間違った方向に突き進む場合がある。前回の「桶とポンプ」が、その良い例になって居ると思う。

要求は、「システム」から分離した形で明確にしなければならない。

前回の要求は、次のような文だった。
「毎日、水を運ぶので、できるだけ多い量の水を井戸から家に運びたい。」
この文の中には、「桶」と言う言葉は出てこないし、また、暗黙の内にも「桶」を連想させる部分は無いようにしていた。

だが、その一方で、「ユーザーの持つ曖昧模糊としたイメージ」を明確にするために、「具体的なシステムの構成とスペック及び使用方法(運用)」の例示が必要になる場合が多い。私の経験では、「ユーザーのイメージ」の明確化のためには、程度の差はあれ「具体的な例示」が、ほぼ100%必要になると言える。

まるで、矛盾するようだが、「要求は、具体的なシステムから分離」する一方、「要求の明確化のためには、システムの具体化」が必要になる。

実際には、どうするのか?
実践編は、後半に続く・・・

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May 16, 2005

僕の宇宙船 打上ロケット

ss002
私個人が理想としている「僕の宇宙船」が、ごく小さなカプセル型だと言うことは、前回も書いた。今回は、この小さなカプセル型宇宙船を宇宙に打上げるロケットについて説明しよう。

もちろん、私の場合、「宇宙船」は、宇宙すなわち軌道上を飛ぶ必要がある。先頃、民間初の宇宙旅行で話題になったスペースシップワンのようなサブオービット(弾道飛行)では、僅か数分で地上に落ちてきてしまうので、わたし的には許せない。技術的には何倍も、いや何十倍も難しくなるが、地球を回る周回軌道に乗って、初めて本当に宇宙に行ったと言える。

小さな宇宙船には、小さなロケットが相応しい。イメージ的には、裏庭(バックヤード)から打上られる位に、手軽に打上られるロケットが欲しい。(本当に、住宅街の真ん中から打上げられないことは、前回も書いた通りだが・・)

『手軽に打上られる』と言うと、コストのことが問題になるので、必ず「使い捨て型ロケットより、再使用型の方が経済的では?」と言う議論が出る。だが、私は「使い捨て型ロケットの方が良い」と思って居る。
その理由は、現在、専門家の一致した意見として、
(1) 再使用型打上機が、実用化されるまで、最低20年以上必要。
(2) 実用化できても、100回以上、再使用しないと、効果が無い。
の、2つがあるからだ。
私は、20年も待ちたくは無いし、100回使うまで元が取れないのも嫌だ。(仮に週一回は宇宙に行くとして2年間、一カ月に一回で8年間も必要。だいたい、現状の宇宙飛行士なら、3回も宇宙に行ったら、『超ベテラン』だぞ)

では、使い捨て型ロケットで、『小さい』を追求すると、どうなるか?

意外な事に、コンベンショナルな「液体酸素+ケロシン型エンジン」の方が、高性能な「液体酸素+液体水素型エンジン」よりも小型化に向いていることが判った。

一般的には、高性能な「液体酸素+液体水素型エンジン」の方が、燃料消費量が少なく、その結果、ロケット全体を軽量化することができると思われている。

だが、良く考えて欲しい。
「液体酸素+液体水素型エンジン」は「ロケット全体を軽量化する」とは言ったが、「ロケット全体を小型化する」とは、言って居ない。

実は、「液体酸素+液体水素型エンジン」の燃料となる「液体水素」は「比重が軽すぎる」と言う問題を持つ。液体水素の比重は、0.076しかない。一般的に、相当軽いと思えるバルサの中で特に軽いソフトバルサの比重が、0.11だから、それより軽いと言えば、イメージできるだろうか?(発泡スチロールは、液体水素より、さらに軽い)

「液体酸素+ケロシン型エンジン」の燃料のケロシンは、「灯油」つまり油だから、水よりは軽く0.8の比重だが、液体水素と比べると10倍以上になる。

もちろん、ケロシンも液体水素も、比重が1.14もある液体酸素と燃焼させるのだから、酸素の比重も考慮すると、実質上の比重の差は縮まる。だが、それを考慮しても、約2.7倍になる。
つまり、同じ質量の燃料を入るタンクの容積は、「液体酸素+液体水素」は「液体酸素+ケロシン」の2.7倍も必要なのだ。ここまで、違うとタンク殻の質量も大きく違ってくる。

周回軌道への打上げ用のロケットの場合、総質量の8割から9割は燃料だから、その影響は大きい。

同じ大きさ・重さの宇宙船を、高度200キロ程度の円軌道に投入するロケットを、ざっと計算すると、
・「総質量」は「液体酸素+液体水素型」の方が軽い。
・「寸法」「容量」は「液体酸素+ケロシン型」の方が小さい。
と言う結果になる。

その上、
・「燃料質量」は「液体酸素+液体水素型」の方が軽い。
・「燃料を除いた質量」は「液体酸素+ケロシン型」の方が軽い。
となる。

当たり前だが、「燃料を除いた質量」は、タンクとかエンジンの質量等の合計だ。だから単位質量当たりのコストは、燃料よりも高い。そもそも、「液体酸素+液体水素型エンジン」は技術的にも高度で、コストも「液体酸素+ケロシン型エンジン」より、ずっと高い。
だから、ドライ・ウエイト(燃料の無い状態)で比較するなら、「液体酸素+ケロシン型」の方が、質量的にも寸法的にもコスト的にも、小型軽量・低コストになるのである。

燃料を含めると「液体酸素+ケロシン型」の方が重くなるが、燃料自体は、そんなに高い物ではない。自動車用のガソリンと、そんなに変わらないので、仮に1リッター百円とすると、10トンの燃料なら100万円、100トンなら1000万円になる。

結局、小型で低コストを追求すると、「液体酸素+ケロシン型」の方が向いて居る事になる。

とまあ、こんな検討結果をイメージしたのが、イラストの打上げロケットだ。
可愛く見えるように、タマゴ型のスタイルにしてみた。普通、打上げロケットは、空気抵抗を気にして、できるだけ細くするのだが、そうするとミサイルのようになり、可愛くなくなる。
今回は、玩具っぽく太めにしたら、細くした場合よりも燃料が50%も余計に必要だった(普通、燃料よりも「可愛さ」を優先する奴は居ない)。でも、コロコロして、小さくて可愛くなった。高さ的には、一般的な二階建ての家と同じくらいで、太さは普通乗用車の全長くらいだ。(一般の打上げロケットは、10階~15階のビル並みの高さがある)

こんな可愛いロケットでも宇宙に行ける。少なくとも計算上は問題ない。

ただ、こんなイメージを見せたら、コメントを受けた。
「どうやって、工場から運ぶの? 道路交通法で、幅2.5メートル以上の物は、一般道では運べないよ。」

なるほど、そこまでは、考えてなかった。

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May 12, 2005

特急 サンダーバード 3号

e011
昨年、一家で北陸旅行をした時の話である。
前日の夜に小松空港に着いた我が一家は、駅前のホテルで一泊し、明けた朝、小松駅のホームで金沢行きの電車を待って居た。

駅の構内アナウンスが響いた。
「間もなく下り ○○番ホームに特急 サンダーバード 3号が参ります。」

それまで、前日遅かったため、眠そうにホームで立って居た息子(当時 小3)は、突然、目を輝かせ、キョロキョロと辺りを見渡し始めた。

「なんだ、こいつ? 何興奮してんだ?」と、私は思ったのだが、すぐに気が付いた。

今、構内アナウンスは、間違いなく「サンダーバード 3号が来る」と言ったのだ。

もとより、息子が「特急 雷鳥」の事など知りはしないし、その「特急 雷鳥」のより速いバージョンが「特急 サンダーバード」であることなど、知る由も無い。

我が息子に取って、サンダーバード 3号とは、あの国際救助隊の真っ赤な宇宙ロケットである あのサンダーバード 3号以外にはあり得ないのである。

なるほど、息子は、国際救助隊のサンダーバード 3号が、まさに今、このホームにやって来ると勘違いして、興奮して居るのだ。
そりゃ、本当に、国際救助隊のサンダーバード 3号が、やって来たら、私だって嬉しいだろうな。
そう思って、思いっきり笑ってしまった。

もちろん、やって来たのは、ごく普通の特急列車(それでも特急列車の中では相当格好よい方なんだが)で、息子が、がっかりしたのは言うまでもない。

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May 11, 2005

理想のPDA(その5)

z005
前回は、ToDo の分類を行ったのだが、今回は、ToDo のフローチャートと言うか、データフローを考えてみた。
ざっと、ありそうなフローを描いたのが、イラストである。
私の場合、イラストの中で、最も上手く処理できているのは「カレンダー=スケジュール管理」であり、「今日の ToDo」に関しては短期間ならと言う条件付きで上手く行っており、他については破綻しているのは、既に述べた通りだ。
「カレンダー=スケジュール管理」が、他の ToDo と異なる点は「人(つまり私)」へ青色の矢印(実行)は出て居るが、緑色の矢印(完了チェック)が返って居ないことが、図でも明らかだ。何故、「カレンダー=スケジュール管理」に「完了チェックの矢印」が無いかと言うと、理由は簡単で、日時が明確に決まっており、なおかつ変更が聞かない予定は、その項目を完了してもしなくても、後の作業に影響が無いからだ。
それに対して、一般の ToDo の場合、完了しなかった項目を、いずれやる/やらないにしても、何等かの処理が必要になる。
私が、短期間なら「今日の ToDo」が上手く行っているのも、完了しなかった項目がたまらなかった内の話だ。

つまり、私の「ToDo 管理の破綻」は、「完了しなかった項目の処理」に問題があることは間違いが無い。

では、これを避けるためには、どうすれば良いか?
(1) やるべき事は、とっととやってしまう。
(2) やらなかった項目は、わすれてしまう。
(3) やらなかった項目は、再び、何等かの ToDo に入る。

この内、(1)は正論だが、「やるべき事は、とっととやってしまう」事が、なかなかできないから、悩んでいるんで、何等解決にはならない。
とは言え、気の小さい私は、流石に(2)をやる勇気(?)は無い。

残りは、(3)で、「今日の ToDo」で完了しなかった項目は「次の日の ToDo」か「長期的な ToDo」に入てしまう。
私の経験では、完了しなかった項目を「次の日の ToDo」に入ると、さらに「次の次の日」へと、雪だるま式に膨らんだ末に破綻する。

では、「長期的な ToDo」に入ると、どうなるかと言うと、いつまで経っても実行されなくなる。

とは言え、「完了しなかった項目の処理」は、他に方法が無い以上、「長期的な ToDo」に入るしか無いようだ。ただ、問題は「長期的な ToDo」を如何に実行に移すかである。

「長期的な ToDo」を実行に移すには、「今日の ToDo」に入るのが有効ではあるが、「長期的な ToDo」が大量になると、どれを「今日やるか」が分からない。「今日やる」か「明日やった方が良いか」がはっきりしない。「長期的な ToDo」の中には、作業時間が1日では終わらないものがあるが、これは「今日の ToDo」に当てはまらない。

そもそも、「今日の ToDo」を作る時も、「今日やるべき事」を紙や PDA に書き出して居ただけで、そのインプットは極めて不明確である。
インプットは極めて不明確だと言えば、「今日の ToDo」だけではなく、「長期的な ToDo」も「一時的な ToDo」も、そのほとんどは不明確である。

どうやら、
(A) ToDo の発生するプロセスを明確化する
(B) やり残した ToDo を、どう処理するか、明確にする
(C) 「長期的な ToDo」を、どう実行に移すかを明確化する
あたりに、問題が集約できそうだ。
(特に(C)が明確になるなら、(B)は、「やり残した ToDo は、長期的な ToDo に入る」で解決される)

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May 10, 2005

茶通の娘

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私の娘は、茶通である。
普通に入る御茶も好きだが、缶やペットボトルで売って居る御茶も好きらしい。
それどころか、やれ「××X社の新しい缶の茶は美味しい」だの「○○社の御茶は普通の味がする」だの、情報を仕入れて来たり、すぐに飲んで味見をして居るようだ。

私が「いったい誰に似たんだろう」とつぶやくと、妻が即座に「何言って居るの! あなたにそっくりじゃないの」と言った。

そう言えば、私は「茶通」ではないが、「コーヒー」やら何やらに凝る方である。
コーヒーも新しい店ができれば味見をしに飲みに行くし、缶コーヒーも新しい製品が出る度に捜し出しては「美味い」だの「大したこと無い」だのと批評めいたことをいう。
また、少し昔の事になるが、「季節限定△△バーガー」が出ると、わざわざ食べに行ったものだ。(最近は、流石に、わざわざハンバーガーを食べに行くことは無くなった)
学生時代は、色々なファミレスで、「ホットケーキ」もしくは「パンケーキ」を注文して食べ比べた事もあった。

他にも、私の娘は、最近はアニメを見ると「この主人公は、○×の誰々の声優と同じだ」と言い出す。

困ったと言うか、末が楽しみだと言うか。本当に困った娘である。

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May 09, 2005

システムエンジニアリング(その5) 問題の抽象化 「評価」

一人の人間が把握できない程の大規模なシステムを作るためには、「問題の構造」を抽象化を行うことが重要なことは、システムエンジニアリング(その4)で説明した通りだ。付け加えるなら、大規模なシステムだけでなく小規模なシステムでも「問題の構造の抽象化」は有効な手段である。

さて、「問題の構造の抽象化」は、次の二つの側面を持つ。
(1)問題の構造化
 システムを分割し、問題の構造を構築する。
(2)評価
 「問題の構造」を評価する。

この内、(1)は、本来、システム内に存在する問題を拾い上げ、それらの関連を考慮することだ。しかし、詳細な「問題の構造」は、具体的な機器構成の検討を必要とする場合がある。
(2)は、「問題の構造」を評価するのだが、数値化するのが望ましい。この「評価」の結果を用いて、システム設計をコントロールするのだ。

如何にも「システム設計」らしい「機器構成の検討」は面白そうなので、一般的に、(1)を優先してやってしまう傾向になる。しかし、「問題の構造の抽象化」の最終的な目的である「評価」を理解せずに「機器構成の検討」を行うと無駄になることが多い。無駄どころか、マイナスの結果になることすらある。
ここは、はやる気持ちを抑えて、まずは「評価」について検討しよう。

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さて、「評価」だが、システムエンジニアリング(その3)に登場した「バランスの悪い桶」を再登場させ、これを使って説明しよう。

まず、やってはいけない事は、「一部の要素のみを評価の対象にすること」である。
当たり前のようだが、陥り易い間違いだ。例えば、自動車なら「エンジンのパワーのみ」とか「サスペンションの形式のみ」に注目することだ。図の「桶」の例では、最も短いBの板の長さを評価の対象とすることになる。
確かに、Bの板の長さを長くすると、それに桶に入る水の量は比例して増える。だが、それは、Bの板がDの板の長さになるまでの間の話であり、それを超えると効果が無くなる。にも拘らず、「Bの板の長さのみを評価の対象」とした場合は、延々とBの長さを長くし続けようと改良を加え、他の板よりも遥かに長くなり、さらにバランスの悪い桶になるというのは、既にシステムエンジニアリング(その3)で説明した通りだ。

次に陥りがちな間違いは、「速ければ速いほど良い」とか「大きければ大きいほど良い」と言った節操の無い「評価」だ。
「桶」の例なら、「桶の中に入る水の量」のみで評価する事だ。この場合、「桶の量」をドンドン増やすように改良が続けられ、やがて、桶は家よりも山よりも何よりも大きくなって行く。本来、この桶が何の目的で使われるかを明確にしておかないと、とんでもない大きさに桶が成長してしまう。例えば、この「桶」は、人が運ぶものだとすると、桶が重くなり過ぎ、人が運べないほどになると全く意味をなさないものになってしまう。
最初に、「桶」が、どのような使われ方をするのかをイメージすることが大事だ。

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この図のように、家の外にある井戸から家まで水を運ぶための「桶」を考えよう。
実際に「桶を使う人」=「ユーザー」から、何が望みかを聞く。

「毎日、水を運ぶので、できるだけ多い量の水を井戸から家に運びたい。」
これが「ユーザー」の望み、堅い言葉で言うと、「要求」である。

陥り易い間違いが、「要求をスペックで置き換える」ことだ。
例えば、「XXリットルの水の入る桶」と言う言い方が、「スペック」である。またまた、車の例えで言えば、「6人家族でキャンピングを楽しみたい」が「要求」で、「2500cc級のミニバン」が「スペック」である。

次に、「運べる水の量」を検討する。まず、「水を含めた桶の質量」と「一日当たりの運べる回数」の関係を調べる。実際に使う人=「ユーザー」に桶と同じ形状の色々な重りを運んでもらい、図の右上のようなグラフが得る。重すぎると運べないし、重さがゼロでも、ある程度以上の回数を運ぶことができない。だから、グラフのように右下がりのグラフになる(直線になるかどうかは極めて怪しい)。

また、「水を含めた桶の質量」と「一回に桶で運べる水の量」は左下のグラフになる。

「桶の効率」を
(桶の効率)=(桶に入る水の量)÷{(桶自体の重さ)+(桶に入る水の量)}
とすると、グラフの赤い線は、「バランスの悪い桶」の長さがバラバラのような「効率の悪い桶」であり、グラフの青い線は、板の長さが一定で無駄な部分が無い「効率の良い桶」だ。

「1日に運べる水の総量」は、右下のグラフになる。このグラフは、先の二つのグラフを掛け合わせたものだ。グラフの中央部の山の頂点が、最も「1日に運べる水の総量」が多いところだ。同じ山の頂点でも、赤い線より青い線の方が、量が多い。つまり、「効率の良い桶」が良いことになる。

このように右下のグラフの頂点を目指すように「評価」することが良いことが分る。
すなわち、
・「桶の効率を良くする」
・「その上で、1日に運べる水の総量を最大にする桶の大きさにする」
に、ブレークダウンできる。

ところが、上記のようなブレークダウンをすると、間違った最適化を行う可能性が出てくる。


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図の左上の「バランスの悪い桶」は、先の「ブレークダウン」で評価して、改良すると、右上のようになる。これは一見すると、正しい改良のように見える。
ところが、「一部の板の長さを長いままにし、それに別の板を通す」ことで、右下のように「持ちやすい桶」になる。こうすると、「桶の効率」は、むしろ悪化するが、持ちやすいので、「一日当たりの運べる回数」は増え、最終的に「1日に運べる水の総量」は増える可能性もある。

単純に「桶の効率」だけを追求すると、右下のような「持ちやすい桶」を見付ける事はできない。このように、右上への最適化を近視眼的な「局所最適化」と言い、右下への最適化を「大局的最適化」と言う。「評価」をあまりにも抽象化し過ぎて、本質を見失うと「局所最適化」に陥り、「大局的最適化」ができない事が多い。
「評価」は、「要求」の本質に合わせて、柔軟に変化させる必要がある。最近のシステムエンジニアリングでは、このように「実どのような使われ方をするのか」だけではなく、「故障したとき、どうやって修理するか」「不要になった時、どう廃棄するか」までをイメージすることが、重要だと言われている。

ところで、ユーザーの要求が
「毎日、水を運ぶので、できるだけ多い量の水を井戸から家に運びたい。」
の場合、図の右下のような「持ちやすい桶」が最適設計であろうか?
私は、そうは思わない。
「毎日、できるだけ多い量の水を井戸から家に運びたいのなら、井戸から家までホースか管を引いて、ポンプで水を汲み上げた方が良い」と提言するだろう(電気が使えれば、電動ポンプで、そうでなければ、足踏み式ポンプで)。

「そんなのインチキだ。」と言われそうだが、ユーザーの要求を分析すれば、ポンプの方が良いに決まっている。仮に「桶作りの専門家」であっても、「桶以外の解決方法」があれば、提言できなければ、本物の「システムエンジニア」ではない。「桶」はあくまで手段であり、目的ではない。誰かが言ったが、「宇宙で書き物をしたければ、スペースペンを開発するより鉛筆を使った方が早い」のだ。

今回の最後の陥りやすい間違いは、「手段を目的化する」だ。

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May 07, 2005

オーディオ趣味への泥沼

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話の発端は、この春、中学にあがった娘が英語の勉強のためにリビングで使っていたCDラジカセを自分の部屋に持って行くと言い出したことだ。以前「自作スピーカー」の記事で紹介したミニコンポは、とっくの昔に故障し廃棄されていた。(そのメーカーの製品はXXXタイマーとやらが付いて居て保証期間が切れると直ぐ故障すると言う噂があったが、本当だったようだ。)
普段、リビング兼ダイニング兼キッチンに居る妻が、CDラジカセが無くなると「音楽が聞けなくなる」と、こぼしたので何とかすることにした。
押し入れを探ると独身時代に使っていたBOSE101小型スピーカーが出て来た。リビングにはDVDプレーヤーがあり、これで音楽CDも再生できる。後はオーディオ・アンプがあれば、DVDプレーヤーで再生した音楽CDの音をBOSEスピーカーで聞くことができる。

この際だからと、アンプを作ることにした。
アンプを自作すると言っても、自分用ではないし、その上、所詮101スピーカー用のアンプだから、そんなに力を入れる気は無い。
最初は、秋月で「TA7252」と言うICを使ったアンプキットを買って来て、それでごまかそうとした。しかし、実際に作って試聴すると、音が小さい。小さいだけでなく、何か物足りない。主たるユーザー候補である妻も「いまいち、パンチが足りない」と言った。
小学五年生の息子は、意味が分らず「ちゃんと音楽が聞こえるじゃないか。パンチがあるとか無いとか、どういう意味?」と言った。そりゃ、音がして音楽が聞こえるのは確かなのだが、鑑賞に耐えるレベルじゃ無いんだよ、と口で説明するのも面倒なので、息子を私の部屋に連れて行き、以前「自作スピーカー」の記事で紹介した P-610 のメインシステムで、全く同じCDを聴かせた。
息子は目を丸くして、「意味が分った。『パンチがある』って、どう言うことか分った」と言った。(いかんなあ、息子にもオーディオマニア病が伝染ってしまう)

さて、「音にパンチが無い」原因は、本当にアンプか、それともスピーカーか? ちゃんと原因を追求してみよう。
いくら、超小型とは言え、BOSEのスピーカーなんだから、もう少しマシな音がしそうなもんだろうと、メインシステムのアンプに接続してみた。
このアンプ、20年近く前のものだが、95W+95W(スピーカー4Ω時)の出力だから、101相手には十分だろう。
確かに101から聞こえてくる音は、TA7252でドライブした時よりは、ずっと良い。でも、P-610 に比べると、低音も足りないし、高音も延び切っていない。中音も何か透き通っていないような気がする。
まあ、11.5 センチのユニットを無理矢理、超小型の箱に押し込んだスピーカーだから、こんなものかと自分自身を納得させる。
逆に、TA7252で P-610 をドライブしてみたら、やはり良い音がしない。それでも101の時より、ずっとマシな気がするのは気のせいだろうか?

とりあえず、101スピーカーでも、アンプさえ良くすれば、何とか鑑賞に耐える音が出せることが分って、アンプを改良しようとする。

水城さんに聞いたところ、「最近カマデンのD級アンプキットが評判らしい」と言う情報を得た。
「D級アンプ」と言うと、要は、MOS FET みたいなので、スイッチングしているだよな。スイッチング制御は、電源とかモーターの制御では高効率で良いんだが、果たして、オーディオアンプとして、まともな音がするのかと訝る反面、全くの聞いたことも無いので興味もある。
ネットで調べたところ、当該のキットはTA2020と言うICを使った20W+20W(スピーカー4Ω時)のアンプらしい。ICの名前がさっきのTA7252と似ているが、全くの無関係らしい。若松で売っていることが分り、秋葉原へ行く。
若松の店頭で、TA2020キットで小型スピーカーを鳴らしていた。聴いてみると、それなりに良い音がする。少なくとも101よりは低音がはっきりしている。
早速、購入し、一気に作る。説明書によるとアンプの効率は85%だと言う。オーディオアンプとは思えないほどの高効率だ。電源は12V2Aが推奨だが、手持ちでは12V300mAしかなく、取り敢えずは、これで試聴してみることとした。

音源用にDVDプレーヤー、スピーカーは101を接続して、CDを鳴らしたら、驚いた。
吃驚するぐらい音が良い。TA7252とは比べ物にならないことは予想していたのだが、メインシステムのアンプでドライブするより音が良い。公称出力は95Wから20Wに落ちているのだが、むしろパワーアップしていると思える低音が利き、高音も切れが良い。
これは、「何とか鑑賞に耐える音が出せる」程度ではなく、ずっと良くなっているぞ。それよりBOSE101は購入後20年になるのだが、こんなに良い音がするとは今まで知らなかった。101専用アンプよりも良い音だ。アンプで、これほど音が変わるとは思わなかった。今まで、アンプを甘く見過ぎていたかなあ?

このD級アンプで、P-610 をドライブしたら、どうなるか気になり出した。早速、接続して試聴。確かに良くなったが、101の時のほど大きな差は無い。
試聴した結果、音の良い順に並べてみる。本当は、主観は入らないように目隠し試験をしなきゃいけないが、面倒なので、そこまではやらない。(TA7252は、余りにも音がプアなので、除外している)
(1)TA2020アンプ+ P-610 スピーカー
(2)旧式95Wアンプ+ P-610 スピーカー
(3)TA2020アンプ+BOSE101スピーカー
(4)旧式95Wアンプ+BOSE101スピーカー
気になったのが、同じスピーカーを使った同士のアンプの違いによる音の影響だ。(1)と(2)の差は小さいが、(3)と(4)の差は大きい。

どうやら、BOSE101は「重い」スピーカーなので、アンプの駆動力違いによる影響が出やすく、逆に P-610 は「軽い」スピーカーなので、アンプの駆動力の影響が少ないようだ。
ここで、スピーカーの「重い」「軽い」とは、スピーカー全体の質量を示しているのではない。全体質量なら、P-610 の方が遥かに重い。
そうではなく、スピーカーの中でコーンやコイル等の可動部が動きにくいか動きやすいかで「重い」「軽い」と言う表現を使った。
コーンやコイル等の可動部の質量が軽い程「軽い」スピーカーに、可動部の質量が重い程「重い」スピーカーになるのは当然だが、可動部を支えるダンパーの材質・強度にも左右される。それ以上に、影響が大きいのが、箱の容量だ。コーンの動きにより箱の内部気圧が変化して反発する力が原因となる。そのため、一般的に箱の容量が大きいほど「軽い」スピーカーに、容量が小さいほど「重い」スピーカーになる。その他、バスレフやホーン等の共鳴効果やユニットの磁気回路等も、スピーカーの「重い」「軽い」に影響する。一般的に「軽い」スピーカーは効率が高く、「重い」スピーカーは効率が低くなる。

P-610 を使った自作スピーカーは、徹底的に「軽く高効率」を狙った設計になっている。そもそも、P-610 ユニット自体が真空管アンプ全盛時代に作られたために「軽い」設計になっている(真空管アンプは、半導体アンプに比べて出力が低い場合が多い)。この P-610 ユニットの特性を最大限に引き出そうと大きめのバスレフの箱に入れ、ツィーターも高効率のユニットにし、ネットワークも効率を下げる要因を排除した回路にしている。
その結果、P-610 自作スピーカーは、比較的プアなアンプでも良い音が出る、言い方を変えるとアンプの駆動力の影響が少ないスピーカーになった。逆にBOSE101は重いスピーカーの典型なので、アンプの駆動力の影響がもろに出る結果となったのだ。

ところで、私は今まで単純に「アンプの駆動力∝アンプの最大出力」だと思って居たのだが、どうやら間違って居たようだ。何十万もする高級アンプは、最大出力も何百Wもある。しかし、一般家庭では最大出力は10Wもあれば十分で(もちろんスピーカーの効率にもよる)、それ以上出すと近所迷惑になりかねない。にも拘ず、高級アンプの最大出力が大きいのは、実際に10W程度で聴く時でも、「重いスピーカー」にも負けず、十分に駆動するために終段のトランジスタもしくはFETの特性に十分な余裕を持たせるものと信じて居た。
ところが、今回のD級アンプで、この認識が誤って居たことに気付いた。旧式の95Wアンプよりも、20WのD級のアンプの方が駆動力がある。
少なくともD級アンプに関する限り、「最大出力」と「駆動力」は、切り離して考えることができそうだ。(アナログ式のアンプも切り離して考えることができるのだろうか?)
考えてみれば、D級アンプの終段は、超高速・極低内部抵抗のスイッチング素子なんだから、終段の特性もへったくれも無い。だから、実際に使用する出力に対して最大出力を無用に大きくする必要は無いんだな。

誤解してもらっては困るのだが、私は、自作スピーカーを徹底的に「軽く高効率」に設計したが、スピーカーは何が何でも「軽く高効率」にすれば良いというものではない。「重く低効率」なスピーカーを強力な駆動力を持つアンプでドライブするのもありだ。要は、オーディオは音が良ければ何でもありなのだ。特に「軽く高効率」なスピーカーは低音を出すのが難しいので、低音特性の良い「重く低効率」なスピーカーをハイパワーアンプで鳴らすのも良いだろう。

私が「軽く高効率」なスピーカーを選んだ理由は、当時(17・8年前)は、「重く低効率」なスピーカー全盛時代で、その流行に反したかった事と、ハイパワーアンプが高価で重く、その上、効率が悪かったからだ。当時の高級ハイパワーアンプは、ン十万円もした。その上、特に高級とされるA級アンプは非常識なくらい効率が悪く、電気ストーブ並の消費電力を食う。
私は、どうしても、そんな電気の無駄遣いの野蛮なやり方が好きになれなかったので、「軽く高効率」なスピーカーと中級程度のアンプの組み合わせを選んだのだ。

だが、今回、D級アンプを作って、聴いて考えが変わった。最大出力が大きくなくても駆動力に優れ、その上、消費電力も少ないアンプが安く手に入るのなら話は別だ。
「夢のバックロードホーン」を作る時には、その前にン十万円もする高級アンプを買うか作る必要があると思って居たが、D級アンプで何とかなるだろう。

それ以前に、気になることがある。
BOSE101をしまって居た(そして、野尻さんに進呈した予備の P-610 をしまって居た)同じ押し入れにJBLのコアアキシャル2ウェイ・ユニットが眠って居るのだ。カーステレオ用のユニットだから、ホームユース用のJBL程には評判は良くないのだが、腐ってもJBLである。その上、購入価格は我が家のスピーカーの中で最も高価だ。そして、このユニット、典型的に「重く低効率」なユニットなのだ。今まで、適当なハイパワーアンプが無かったから、気にして居なかったが、今回作ったD級アンプならドライブできそうだぞ。ホームセンターでサブロクの板を買って来て適当な箱を作ったら、BOSEの101スピーカーより良い音になるに違いない・・・

ああ、またイカン虫が騒ぎだした。
オーディオに凝ると、いくらでも時間とお金を使ってしまう。だから、できるだけ、避けて居たんだが・・・

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May 04, 2005

僕の宇宙船

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私自身が、作ってみたい・乗ってみたいと思って居る夢の宇宙船を紹介しよう。

普段、業務で検討する時は、やれ「皆のための宇宙船」とか、やれ「国民のための宇宙開発」とかに気を配らなければ行けない。だが、抽象的なとか国民を考慮するのは結構肩が凝る。ここは私のプライベートなブログなんだから、もっと気軽に、好き勝手に考えた自分自身のためだけの夢の宇宙船を紹介しよう。

夢の宇宙船だから、宇宙に行けるのは当然だが、単に宇宙に行ければ良いとものではない。私の場合、団体観光旅行の一旅客として、行列の後ろについて行くなんてまっぴらである。

私は自動車も好きだが、大型バスに客として乗って居ても楽しくない。自動車なら、自分で運転する方が何倍も楽しい。
同じように飛行機も好きだが、ジャンボに客として乗って居るのは楽しくない。セスナで良いから操縦する方が楽しい。(時効だろうから白状すると、25年以上前に無免許でセスナの操縦をさせてもらったことがある)

そうやって、考えると、宇宙船も同じで、大型・大人数乗りの宇宙船に客の一人として乗るより、小さな宇宙船で良いから、自分で操縦できた方が楽しいと思う。

自動車とのアナロジーついでに考えると、私の理想とする自動車はロータス/ケータハム・スーパーセブンである。
スーパーセブンが理想の車だと言えば、判る人には判ると思うが、乗り心地や居住性は一切要求しない。その代わり、スポーティさは求めるが、絶対パワーは必要ではなく、求めるのは軽快さとハンドリングの良さだ。

では、スーパーセブンを夢の宇宙船に当てはめたら、どうなるか??
まず、小型軽量だ。一人乗りもしくは二人乗りで、居住性は最低限で良い。それこそ、スーパーセブンとかスマートの大きさだ。居住性の代わりに、操縦性には拘りたい。

ところで、宇宙船にとって、「操縦性の良さ」とは何だろう?
「宇宙船の操縦」とは何かと言えば、「宇宙空間すなわち軌道上における姿勢及び軌道の制御もしくは変更」だ。打上げ時のロケットの飛行経路制御や帰還時の大気圏再突入時や着陸時の制御まで「宇宙船の操縦」に入れようとする人が居るが、違うと思う。打上げ時の制御は、史上どんなロケットだってコンピュータで制御するものだし、帰還時は、カプセルの空力特性やパラシュートの安定性とコンピュータによるナビゲーションに任せた方が安心だ。そもそも、打上げや帰還の時は「宇宙空間すなわち軌道上」の操縦でないとすら言える。

良く「宇宙船の操縦なんてできるのか?」と聞かれるのだが、「宇宙船の操縦」自体は、不可能ではないと思って居る。と言うより、私が宇宙船を造るのなら、私が操縦できるような宇宙船にしてしまうのだ。
自慢じゃないが、私の運動神経は、ごく普通レベルだ。車の運転だって、下手じゃないが、特別上手い訳でもない。トップガンのテストパイロット出身のバリバリの宇宙飛行士と運動神経を比べたら足元にも及ばないし、あんな苛酷な訓練に耐えられる訳もない。
だから、宇宙船の方を、普通免許で普通に乗用車を運転できる程度の運動神経の持ち主でも操縦できるように造ってしまう。

では、どうやって、ごく普通の運動神経の持ち主でも操縦できる宇宙船に造るかと言うと、答えは簡単で、コンピュータの助けを借りるのだ。そもそも、私は人工衛星の姿勢や軌道制御が専門だ(こっちの方は自慢かも)。無人の衛星で自動制御する技術の応用で、自分自身の運動神経を補おうと言う訳だ。

軌道上での姿勢制御は、どっちの方向に向きたいかは、操縦桿のようなスティックでコントロールできるだろう。ただ、軌道上の宇宙船は、一度回り出すと止らない。地上の物体のように一つの回転軸の回りをコマのように単純に回るだけではなく、回転軸そのものが回り、その回転軸を中心に二重に回ると言う奇妙奇天烈な動きをする(ニューテーション運動と言う)。こうなると人間には止められないので、コンピュータの姿勢安定化制御の助けを借りた方が良いだろう。

軌道制御も同じで、航法や燃料最適化の計算はコンピュータの助けを借りた方が良いが、スティックで、行きたい方向をコントロールできる。

これを応用すれば、ランデブーやドッキングだってできる。ランデブーやドッキングは、一般的に、すごく難しいとイメージがある。もちろん、難しいのは間違いないのだが、既に完全無人で自動でランデブーやドッキングが行われた実績がある。一度、無人自動でできたのなら、後はコンピュータ・プログラムを叩いていけば、素人が行えるような補助制御を行うことも可能だ。
さらに、この技術を応用すれば、宙返りや8の字飛行と言ったアクロバットやスラローム飛行、ロボットアームを用いた大型構造物の建築も可能になるだろう。二機以上あれば、パイロンレースや模擬空中戦も可能になる。

このような操縦して楽しい宇宙船を何時でも何処でも手軽に打上げたい。理想的なのは、自宅の裏庭(バックヤード)で宇宙船を組み立てて、打上げてみたいもんだ。もっとも、我が家には、どんなに宇宙船を小さくしても、宇宙船を組み立てるような広さの裏庭など無いのだが。

実際に住宅街の真ん中から宇宙船なんか打上げたら、警察沙汰になるのは間違いないのだが、そこは、あくまで夢の宇宙船なんだから、大目に見てほしい。

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